新規事業の開発は、企業の成長を促進する重要な要素です。しかし、成功に導くためには、アイデアを具体的な行動計画に落とし込む必要があります。その際に欠かせないのが「事業計画書」です。
事業計画書を作成することで、事業の方向性や実現可能性を明確にするための羅針盤となるでしょう。本記事では、新規事業を開発し、事業計画書に落とし込む際のステップとポイントについて詳しく解説します。
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事業計画の定義
そもそも事業計画とは、企業の長期的および短期的な目標を達成するために立案される戦略的なプランのことです。これには、需要や競争の分析・ターゲット市場の特定・製品やサービスの開発・収益予測・資金調達などが含まれます。
また、事業計画は組織内のチームや関係者に事業の方向性を示し、プロジェクトのスケジュール、責任とタスクの割り当て、成果の評価と振り返りを通じて進捗を管理する際にも役立ちます。
事業が開始した後も、修正と改善の計画や持続可能性の確認時に見直すことになるでしょう。したがって、企業が成功に向かって進むための「ロードマップ」となるのが事業計画です。
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新規事業を開発する際に事業計画が欠かせない理由とは
新規事業を立ち上げる際には、そのアイデアを具現化し、具体的なアクションプランに落とし込むことが求められます。その過程で、事業計画書は重要な役割を果たします。
また、企業内外での理解や支援を得るためにも、事業計画書は欠かせません。ここでは、事業計画が必要な理由を詳しく解説します。
目的・ゴールを明確にするため
新規事業を開発する際に事業計画書を作成する最も大きな理由は、目的とゴールを明確にするためです。新規事業を成功させるためには、具体的な目標を設定し、その目標に向けて計画的に進める必要があります。
ゴールが曖昧だと、事業が進むにつれて方向性がブレたり、チーム内での認識がずれたりすることもあります。逆に、明確な目的があれば、全員が同じ目標に向かって努力でき、事業の進捗管理もしやすくなるでしょう。
いつまでに何をやるか明確にするため
事業計画書を作成することで、いつまでに何をやるかが明確になります。新規事業では、アイデアを実現するために必要なタスクが多岐にわたるため、適切なタイムラインを設定することが重要です。
各タスクに期限を設けることで、プロジェクト全体の進捗が管理しやすくなり、リソースの無駄を防ぐことができます。また、計画を具体化することで、チーム全体が共通のスケジュールに基づいて動くことができ、プロジェクトが効率的に推進できるでしょう。
検証・改善を繰り返し成功へとつなげるため
事業計画書は、一度作成して終わりではなく、検証と改善を繰り返しながら成功へとつなげる基盤でもあります。新規事業は、初期段階では多くの不確実性を伴います。そのため、事業計画書に基づいて進行状況を定期的に評価し、必要に応じて修正することが欠かせません。
このプロセスを繰り返すことで、計画の精度が高まり、最終的には成功につなげることができます。検証と改善を怠ると、事業が行き詰まりやすくなるため、計画書に基づく柔軟な対応が必要です。
社内に理解してもらうため
新規事業を成功させるためには、社内の理解と協力が不可欠です。特に大企業においては、事業計画書はステークホルダーへの説明資料としての役割を果たします。なぜなら、新規事業は未知の要素が多く、社内での支持を得るためには、事業の意義や進め方を明確に示す必要があるためです。
また、事業計画書は、新規事業担当者にとってもプロジェクトを推進する道標となります。具体的な指針があることで、担当者は迷うことなくプロジェクトを推進でき、社内での信頼を築くことができるでしょう。
資金調達を行うため
事業計画書は、外部からの資金調達を行う際にも重要な役割を果たします。投資家や金融機関は、事業計画書を通じて、事業の将来性やリスクを評価し、資金提供の判断を行うためです。
資金調達に成功するためには、計画書において、事業のビジョンや収益モデルを具体的かつ説得力を持って示す必要があります。また、資金提供者にとって、計画がしっかりと策定されていることは、信頼性の高い投資先として認識されやすくなるでしょう。
新規事業開発で事業計画書を作る5ステップ
事業計画書は、新規事業を成功に導くための設計図と言えます。そのため、計画書を作成する際には、事前に十分な準備を行い、各ステップをしっかりと踏むことが重要です。ここでは、事業計画書を作成する具体的なステップについて解説します。
ステップ1.事業計画書に記載する項目を決める
事業計画書を作成する際は、まずは何を記載するかを決めることがスタートです。新規事業の性質や目的に応じて必要な項目は異なりますが、一般的には市場分析、事業の概要、収益モデル、リスク分析、資金計画などが挙げられます。
これらの項目を明確にすることで、計画書が網羅的かつ一貫性のある内容になります。また、項目を事前に決めておくことで、後のステップで情報収集や整理が効率的に進められるでしょう。
ステップ2.各項目に記載する情報を集める
次に、決定した各項目に記載する情報を集めます。市場分析であれば、ターゲット市場の規模や成長性、競合分析などのデータが必要です。また、収益モデルでは、売上予測やコスト構造を具体的に示す必要があります。
情報収集は、信頼性の高いデータを基に行うことが重要であり、インターネットや業界レポート、専門家からの意見を活用すると効果的です。これにより、計画書の説得力が高まり、事業の成功可能性を高めることができます。
ステップ3.事業計画書に落とし込む
集めた情報をもとに、実際に事業計画書を作成します。この段階では、各項目が論理的に繋がっているかを確認しながら、全体の構成を整えます。また、計画書は読み手にとってわかりやすいものでなければなりませんので、専門用語を避け、明確かつ簡潔な表現を心がけましょう。
ここでのポイントは、計画書が実行可能なものになっているかどうかです。具体的なアクションプランやスケジュールが示されていることが、計画書の信頼性を高めます。
ステップ4.作成した事業計画書を専門家に見てもらう
計画書を作成した後は、参入領域に知見のある専門家に見てもらうことが重要です。専門家の意見を取り入れることで、計画書の精度が向上し、再現性の高い計画に仕上げることができます。
また、第三者の視点で計画書を評価してもらうことで、見落としていたリスクや改善点に気づくことができ、事業成功の確率を高めることができます。特に、経験豊富な専門家にアドバイスをもらうことで、計画の実行可能性がさらに高まります。
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ステップ5.アドバイスに従って修正する
専門家からのアドバイスを受けたら、それに基づいて計画書を修正します。ここで重要なのは、アドバイスを単に受け入れるだけでなく、自分たちの事業にとって本当に必要な修正を見極めることです。
修正を繰り返すことで、より現実的で実行可能なものになります。また、計画書の修正を通じて、自分たちのビジネスモデルや戦略に対する理解が深まり、事業を成功に導くための道筋がより明確になります。
事業計画書を作成する際のコツ
事業計画書を作成する際には、いくつかのコツを押さえておくことが重要です。ここでは、事業計画書をより効果的にするための具体的なポイントを紹介します。
数字を使って根拠を明確にする
事業計画書には、必ず数字を使って根拠を明確に示すことが求められます。例えば、売上予測や市場規模、コストの見積もりなど、具体的な数値が示されていない計画書は、信頼性が低く、説得力に欠けます。
一方、数字を用いることで、計画が現実的であることを証明し、読み手に安心感を与えることができます。また、数字は客観的な評価基準となるため、後々の進捗管理にも役立つでしょう。数字に基づいた計画書は、投資家やパートナーからの信頼を得る上でも欠かせません。
専門用語を多用しない
事業計画書を作成する際には、専門用語の多用を避け、誰にでも理解しやすい言葉で表現することが重要です。特に、事業の成功には多くの関係者の協力が必要であり、全員が計画内容を正しく理解していることが前提となります。
専門用語を使いすぎると、内容が難解になり、関係者の理解を得られなくなってしまいます。そのため、計画書はできるだけシンプルな言葉で書き、読みやすさと分かりやすさを意識しましょう。
想い・熱意を込める
事業計画書には、数字やロジックだけでなく、作成者の熱意を込めることも重要です。ベンチャーキャピタルなどの投資家は、最終的には事業の可能性だけでなく、創業者の熱意を重視することが多いです。
例えば、ソフトバンク創業者の孫正義氏も、熱意によって投資家を説得し、事業を成功に導いてきました。事業計画書は単なる計画書ではなく、その事業に懸ける想いや情熱をしっかりと伝えることで、読み手の心を動かすことが大切です。事業計画書に込められた熱意は、事業を前進させる強力な原動力となるでしょう。
事業計画テンプレートを用いる
はじめて事業計画書の作成する場合、テンプレートを活用することも効果的です。テンプレートを使用することで、必要な項目を漏れなく網羅できるだけでなく、構成やフォーマットの一貫性も保つことができます。
また、テンプレートには、すでに成功している事業計画の要素が含まれていることが多いため、それを参考にすることで、自分たちの計画書の質を向上させることができます。テンプレートを活用することで、効率的に質の高い事業計画書を作成することが可能です。
事業計画書作成後の相談先
事業計画書を作成した後、それをどのように実行に移し、さらにブラッシュアップするかが重要です。
計画書の完成はスタート地点に過ぎず、その後の進行や改善において、専門家のアドバイスが欠かせません。ここでは、事業計画書作成後に相談すべき先について解説します。
民間のコンサルティング会社
事業計画書をさらに磨き上げたい場合、民間のコンサルティング会社に相談することは有効な手段です。コンサルタントは、さまざまな業界の知見や経験を持ち、ビジネスの成功に向けた戦略的なアドバイスを提供してくれます。
特に、新規事業の立ち上げや市場参入において、具体的な施策や実行可能なプランの策定に役立つでしょう。適切なコンサルティング会社の支援を受けることで、計画の精度が高まり、成功の確率が大幅に向上します。
士業(税理士、社会保険労務士など)
事業計画書には、財務や法務に関する内容も含まれるため、税理士や社会保険労務士といった士業に相談することも有効です。特に、税務処理や労務管理に関する専門知識は、企業の健全な運営にとって重要な要素です。
例えば、税理士に相談すれば、計画書に基づいた適切な資金計画や税務戦略を立てることができますし、社会保険労務士からは従業員管理や労務リスクの最適化についてアドバイスを受けられます。
商工会議所
地域に根ざしたサポートが必要な場合は、商工会議所に相談することもおすすめです。商工会議所は、地域のビジネス環境に精通しており、事業計画書に基づいた具体的なアドバイスを提供してくれます。
また、商工会議所は、中小企業の支援や地域経済の活性化に力を入れており、資金調達やビジネスマッチングのサポートにも積極的です。特に、地元でのネットワークを構築しながら、事業を順調に進めたい場合は、商工会議所への相談を検討しましょう。
金融機関
事業計画書を基に資金調達を行う際には、金融機関との連携が不可欠です。銀行や信用金庫などの金融機関は、事業の資金面を支えるパートナーであり、融資や投資の相談を行うことで、事業計画の実現可能性を高めることができます。
金融機関に相談することで、事業の信用力を高めるためのポイントや、最適な資金調達方法についてアドバイスを受けられます。特に、金融機関との信頼関係を築いておくことで、長期的な事業運営にメリットになることも多いでしょう。
まとめ
新規事業を成功させるためには、しっかりとした事業計画書を作成することが不可欠です。計画書は、事業の方向性を示す羅針盤であり、内部での合意形成や外部からの支援を得るための重要な役割を担います。事業計画書をもとに行動し続けることで、目標を達成し、ビジネスを確実に前進できるはずです。
また、事業計画書を作成する際には、参入領域に知見のある専門家にアドバイスを求めることで、計画の再現性と実行可能性が高まります。経験豊富な専門家の意見を取り入れることで、見落としていたリスクを回避し、事業を成功へと導く道筋がより明確になるでしょう。
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