事業計画の考え方とは?社内稟議が通りやすくなる事業計画書の作成方法を徹底解説

新たに事業を始めたり、既存事業を改善したりする場合には、事業計画が役立ちます。事業計画は事業の設計図のようなもので、考えなくても事業を進めることは可能ですが、あれば社内で承認を得る際にも非常に役立ちます。

仮に計画を立てずに事業を実行に移せば「経営陣からの承認を得られない」「融資を受けられない」「スタートしたものの、プロジェクトがどこまで進んでいるのかわからない」という事態に陥りかねません。そのような事態を回避事業を成功に導くためには調査データにもとづく仮説を立てて、協議を重ねる必要があります。人材や知見が社内に不足している場合は、業界や商材に関する知識・経験を有する人材を外部から確保して、計画を詰めていくこともあります。

本記事では事業計画の考え方や3つのメリット、考える手順4ステップ、そして事業計画書を作成する際のポイントまで詳しく解説しています。経営計画との違いや事業計画書の様式について知りたい方も、ぜひ参考にしてみてください。

新規事業の立ち上げを成功させたい方へ
FUTURE WAVEを活用したトレンドリサーチ支援
FUTURE WAVEを活用したトレンドリサーチ支援

デスクリサーチをベースとした市場のトレンド分析を元に、サービス / プロダクトの改善・開発を行います。未来の生活者や市場動向を事業に活用したいクライアント様向けのパッケージとなります。

ご支援プラン紹介ページを見る
目次

事業計画とは

「事業計画」は新規事業の立ち上げ時や会社の経営改善を行う際に事前に考えておくもので「ビジネスプラン(Business Plan)」とも呼ばれます。よい事業計画を策定できれば、事業の信頼性は増し、成功イメージも共有しやすくなるため、社内の意思決定権を持つ方にも納得してもらいやすくなります。

たとえ「なぜその事業を実現したいのか」「既存事業のどの部分を変えようとしているのか」といった理由が明確にあっても、計画の全容を十分に伝えられなければ、社内で稟議書の承認を得られない可能性があります。また、目標の数値だけが決まっていても、目標達成までのプロセスや具体的な方法、想定される必要人員数、予算などが曖昧では、事業が途中で頓挫してしまいかねません。

そのような事態を避けるためにも、事業計画として目標を1つ1つ達成するための手順を考え、どのように実現させていくかを具体的に示す計画を策定することが必要です。

SEEDERはデスクリサーチをベースとした市場のトレンド分析を元に、サービス / プロダクトの改善・開発を支援いたします。未来の生活者や市場動向を事業に活用できます。

「経営計画」との違い

経営計画は、企業の現状から将来の目標に至るまでのロードマップとして、期首に立案するのが一般的です。あわせて予算計画や利益計画なども作成します。また、年度ごと・半期ごと、あるいは3年・5年・7年といった期間で考えることが多く、対象の期間に対して、事前に企業の将来の活動の方向性を定めていきます。

一方、事業計画では達成したい目的や目標、それらを達成するための計画、それまでの過程を考えていきます。決まりはないものの、目的を達成しようとする組織の概要、背景、戦略などの情報を含む場合もあり、年度ごとに策定するのが主流です。

事業計画が必要なシーンと策定による効果

事業計画は必ずしも事業の成功を保証するものではありません。しかしながら、失敗の可能性をできるだけ減らすことができます。ここでは、事業計画を考えるべきシーンと策定によって得られる効果の例を紹介します。

【シーン例】

  • 既存の事業が大きな変化を起こす場合
  • 新規のベンチャー事業を計画する場合
  • 自社の既存事業のサービスや事業内容
  • 新しいビジネスのコンセプトや市場調査
  • 売上や経費などの事業収益の提示、マーケティング方法など

 

【効果の例】

「自身の事業を見つめ直す機会となった」

「新たな取引が生まれた」

「支援機関とのつながりができた」

「既存取引先との関係性の強化につながった」

このように事業計画が策定されるシーンはさまざまです。未達成の目標や改善したい事業がある場合、事業計画を考える中で従来の運用を見直し、課題の解決策を打ち出すことができます。ですので、起業家や創業者だけでなく「社内で新たな事業を始めたい」という方にも事業計画を考えることをおすすめします。

また、事業計画は独自の目線だけで考えるよりも、その事業に関する知見がある方や過去に新規事業の立ち上げ経験がある方に伴走してもらうほうが、計画段階でより細かな検証が可能です。社内に該当する方がいない場合は、外部人材に相談役として加わってもらうとよいでしょう。第三者の目線から本質的な課題への気づきを得られます。

「事業計画書」とは

事業計画を簡潔にわかりやすくまとめて文書化したものが「事業計画書」です。前もって作成していれば、社内での提案時にも事業計画書に沿って説明できます。計画の経緯や根拠、目標達成後のイメージなどをわかりやすく伝えられるので、社内だけでなく、パートナー企業や取引先からの協力や金融機関からの融資を引き出せる可能性が高まります。

なお、事業計画書にも固定のフォーマットはありません。日本政策金融公庫が無料で配布しているフォーマットなどを参考に、自社に合わせてアレンジしてみてください。詳しくは、本記事内「事業計画書の作成方法」の章で解説しています。

参照:株式会社日本政策金融公庫「事業計画書(中小企業経営力強化関連用)」
https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html

事業計画書の共有先

事業によっては、事業計画書を社内だけではなく、社外の方や金融機関にも共有することになります。作成前に「だれに伝えるための事業計画を考えるのか」を意識してみてください。

下記は事業計画書の共有先の例です。特に「ステークホルダー」と呼ばれる、利害関係が発生する組織・人物に対しての説明ツールとして、事業計画書が役立ちます。

社内の場合 決裁権を有する上司・役員、部門責任者、予算管理部門、

協力者、事業に関わる社員 など

社外の場合 支援者、投資家、取引先、顧客、金融機関・行政機関・各種団体、

影響力のある組織・人物 など

なお共有前には、事業立ち上げ経験のある方に見せ検討すべき事項に漏れがないか」「説明やリサーチが不十分な箇所がないか」などを確認してもらいましょう。知見を得ることで、計画のやり直しを回避することが可能です。

また、社内で共有する際には、事業計画書は社員にとって仕事をする上での羅針盤のようなものになります。そのため、外部に共有するものよりも計画の達成に向けて必要な目標をより細かく示しておくとよいでしょう。

事業計画をしっかりと考えるメリット3つ

ここからは、事業計画を考えるメリットとして、下記の3つそれぞれを解説していきます。

メリット1. 社員の目的意識を統一できる

事業計画を立てると、進むべき道筋がはっきりします。社員の目線が合わせやすくなるため、会社全体の舵をとりやすくなるのが大きなメリットです。

仮に計画を立てていなければ、社員はよくわからないまま事業を進めていくことになり、「目的地はわかっているものの、ルートがわからない」「現状が把握できず、やりがいが感じられない」という状態に陥る可能性があります。特に、会社全体を巻き込む事業の場合、各部署によって方針が異なれば、スケジュールの遅延、現場の混乱、無用な差し戻しまで発生しかねません。

まずは事業計画を十分に考えることが、自身やメンバーの事業理解が深まり、最終的なコストダウンや業績アップにもつながるのです。

メリット2. 自社の強み・弱みや将来のリスクを洗い出せる

事業計画そのものだけでなく、計画を作り上げるまでのプロセスにも意味があります。なぜなら、計画を立てる過程で自社の強みや弱みなどが明確になるからです。

「目標をどのように達成するか」を検討する際には、市場ニーズ、競合他社の現状、顧客の傾向などのデータを収集・分析したり、フレームワークを活用したりします。課題を言語化していく間に、あらためて自社の現状を把握できるほか、将来的なリスクに気づき、事前対策を講じることも可能です。そのような意味でも、事業計画を考えるメリットは大きいと言えます。

ただし、自社内だけで調査するには膨大な時間がかかります。適宜外部人材協力者をグループにことによって現状や課題の把握にかかる時間を短縮することが可能です。業務を切り分ければ、計画のブラッシュアップに時間をかけることもできます。

メリット3. 社内外の関係者に自社の方針をわかりやすく伝えられる

事業理解を深め、簡潔に説明できるようにしておくことで、社内外から事業への賛同者を募りやすくなります。また、策定した事業計画を文書化しておけば、社内稟議が通過しやすくなり、承認を得たあとの進行もスムーズになります。

反対に、事業計画に関する説明が不十分だと後々「こんなはずじゃなかった」「想定外のことが起きてしまった」といったトラブルを招きかねません。社内外の関係者に自社の方針や計画の内容を十分に伝えるためにも、事業計画をじっくりと考えることをおすすめします。特に社内での予算分配、金融機関からの融資といった資金調達を計画している方は、必ず事業計画書を作成しておきましょう。

事業計画を考える手順 4ステップ

ここからは、事業計画の考え方について詳しく解説していきます。下記の4ステップの順に考えることで、事業計画書をスムーズに作成できるので、ぜひ参考にしてみてください。

ステップ1. 現状を分析する

事業計画を考える際の前提条件として、会社や自社の現状把握は必須です。内部環境の分析から始めることで、想定とは違う課題にも気づけます。まずは情報を挙げて、会社の現状や将来の理想像を再確認したのち、逆算して単年度の計画を立てていきましょう。下記は現状に関する情報の例です。

【現状分析の項目(例)】

  • 企業の沿革、プロフィール
  • 従業員数あるいはプロジェクトに参画可能な人数
  • 自社が解決すべき課題、問題点
  • 中長期的な経営計画、ビジョン

事業を進めるために欠かせない予算の獲得に関わるため、自社の経済状況といった情報も漏れなく出しておきましょう。また、すでに立てた事業計画を進めているうちに目標と課題のずれが生じた場合にも、ステップ1に戻って現状を見直すことで、計画を軌道修正できることがあります。

ステップ2. 自社の立ち位置を把握する

ステップ1で自社の情報を網羅したら、今度は自社を取り巻く環境について調べましょう。自社の商品やサービスの優位性や競合他社の動向、顧客ニーズなどを知ることで、自社の強み・弱みを把握できます。このとき重要となるのが、根拠となる数値を明確にすることです。正確で信頼できるデータにもとづいていることは、社内での承認や融資を受けるためにも欠かせません。

ステップ12で調査した情報を整理するためにも、下記のようなフレームワークの活用をおすすめします。

【おすすめのフレームワーク3選】

SWOT分析:自社の現況を4項目に整理・分析します。

内部環境…Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)

外部環境…Opportunities(機会)、Threats(脅威)

4P  4つのPにマーケティング戦略などを当てはめて分析します。

Product(商品・サービス)、Price(価格)、Place(販売チャネル)、Promotion(広告・宣伝)

4C:自社について顧客目線で考えます。

Customer Value(顧客価値)、Cost(価格)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)

ステップ3. 事業課題を見直し、仮説を立てる

ステップ12で把握した情報を踏まえて、あらためて事業の目的や課題を考えていきます。一見、スタート地点に戻るようですが、計画の中身を十分に詰めていくためには「本当にそれでよいのか」「課題解決に最適な方法なのか」と自問自答し、自部署だけでなく、関係のある部署・部門とも話し合って「どうすればその事業で営業利益や生産性を上げられるか」を考える必要があります。

時間はかかりますが、会議を複数回設けるなどして内容をブラッシュアップしていきましょう。場合によっては、事業そのものを見直すこともあります。

ステップ4. 具体的な行動計画に落とし込む

ここまでは既存のデータをもとに考えてきましたが、最終のステップ4では「誰が、いつまでに、何を、どのように実行するか」を具体的に考えていきます。

5W3H」などのフレームワークを活用して、どのように行動すれば目標を達成できるのかを明確にすることによって、事業の中断や計画の遅れを未然に防げます。

5W3Hを用いた行動計画づくり】

Why(なぜ) 事業方針、事業によって得られる効果、現状の課題
What(なにを) 事業概要、商品・サービス
Who(だれが)

またはWhom(だれに)

参画するメンバー、協力者、責任者、取引先、顧客像
When(いつ・いつまでに) 着手期限、リリース予定日
Where(どこで) 販売経路、チャネル
How to(どのように) 取り組み方、運用フロー、管理体制
How many(どのくらい) 事業規模
How much(いくらで) 予算

行動計画がどのくらい具体的に作られているかが、事業計画の成功を左右するといっても過言ではありません。ただし、ビジネスにはアクシデントがつきものです。「当初の行動計画どおりに絶対に進めなくてはならない」ということはありません。進捗や目標の達成度を見ながら、都度見直しをはかりましょう。

事業計画を考える際の注意点2つ

事業計画の策定が滞ってしまう原因は大きく2つあります。事業計画書の作成に進む前に、念頭においておきたい注意点を紹介します。

注意点1. 数字だけの計画に終始してしまう

事業計画書に記載する数値は「根拠にもとづいているかどうか」が大変重要で、決して数値の信ぴょう性が揺らいではいけません。しかし、根拠となる数値を単に並べるだけでは「何を達成したいのか」が想像しづらく、ただのノルマのようにも捉えられてしまいます。

業績アップにつながる事業計画を立てるには、社長以下、社員全員が価値観を共有できるような計画を目指しましょう。

注意点2. 計画の完成までに時間がかかってしまう

社員各々の意見やアイデアを持ち寄り、議論を重ねて計画の穴を埋めていくという手順を繰り返すことで、事業計画の具体性は増し、信頼性も高められます。各自に考えさせることで社員の育成につながるというメリットがある一方で、現場から率直な声が上がってくるまでに相当な時間がかかることも珍しくありません。

対策として、普段から社員同士のコミュニケーションを密に、発言しやすい雰囲気を作っておきましょう。事業目的やビジョンをわかりやすい言葉で表現し、定期的に周知しておくのも一つの方法です。

そして、事業計画作りにあまり時間をかけていられない」という場合は、外部委託することで計画完成までの期間を短縮できます複数の事業計画を走らせる場合も、社内で検討する部分と外注する業務を事前に振り分けると、各々の業務に注力することが可能です。利用するサービスによっての部分まで伴走してもらえるかは異なりますが、類似の業界や商材に携わった経験がある方がいれば、仮説立てやすく、計画の高めらでしょう

事業計画書の作成方法

社内の決裁者、事業の協力者に相談できる時間は限られるため、短時間で理解しやすい事業計画書の共有が求められます。大量のデータを入れたり、見た目に凝ったりするのは避けましょう。下記の3点を意識して作成するのがおすすめです。

  • 目的や目標を明確にする
  • グラフや図解を用いる
  • 数値にもとづいた仮説を立てる

また、自社に合った事業計画書のテンプレートを作成しておくと、作業時間を短縮できます。

事業計画書の項目(例

前述の「事業計画をしっかりと考える手順」に沿って考えた内容を、下記の項目に当てはめていくことで、社内決裁がおりやすい事業計画書を作ることが可能です。ただし、事業計画はあくまでも仮説にもとづくものです。状況に応じて適宜修正を加えていきましょう。

項目
会社概要 沿革、取扱商品、サービス
事業概要 事業内容、事業方針、コンセプト
外部環境 市場規模、社会のニーズ、事業の将来性、競合他社の情報
内部環境 従業員の状況、自社の強み・弱み、競合優位性
販売戦略・ビジネスモデル 顧客像、販売経路(チャネル広告戦略、マーケティング戦略、
事業体制・人員計画 連携が必要な部署・部門、管理体制(責任者)必要人員数、

参画するメンバー、社内外の協力者、外部人材の活用

財務計画 売上管理、利益率予想、費用対効果、予算配分、資金繰り

まとめ

新規事業の立案既存事業改善を行うためには、設計図となる事業計画を考えること重要です。自社の内部環境や自社を取り巻く外部環境を考える中で、あらためて自社の強み・弱みや計画の穴などに気づくことができます。ときには、新たな事業プランが浮かんでくるでしょう。 

また、事業計画書に考えた内容を落とし込み、「目標を達成するためにどのくらいの予算感と人員規模で、どのように実行していくか」を明確にしておくことで、計画を円滑に進められます。 

とはいえ、適切かつ説得力のある事業計画を作るのは大変です。策定にかかる時間を短縮するためには、過去に事業計画書の作成経験がない方は、類似の業界や商材に携わった経験のある外部の方から知見を得るという方法もあります。 

さらに、業界の経験が豊富な外部人材の知見を使えば、事業計画の段階で仮説を立ててもらえるほか、検討事項として詰めておくべきことを教えてもらうことも可能です。

社内外からの理解を得て、事業を成功に導くためにも、フレームワークや人材活用、より説得力のある事業計画を立ててみてください。

  • URL Copied!
  • URL Copied!

この記事を書いた人

吉冨 剛典 吉冨 剛典 マーケティング担当

大手企業・ベンチャー企業にて事業開発を10年以上経験。
市場動向に即したビジネススキームの構築に強み。
PoC推進支援、事業計画の策定など新サービス / ブランドの立ち上げ実績多数。

新規事業の立ち上げを成功させたい方へ
FUTURE WAVEを活用したトレンドリサーチ支援
FUTURE WAVEを活用したトレンドリサーチ支援

デスクリサーチをベースとした市場のトレンド分析を元に、サービス / プロダクトの改善・開発を行います。未来の生活者や市場動向を事業に活用したいクライアント様向けのパッケージとなります。

ご支援プラン紹介ページを見る
目次
閉じる