自社の業績を上げていくためには、新規事業・既存事業ともに「事業計画」の質が重要となります。SEEDERがご支援する事業開発においても、事業化に向けた最終ステップとして事業計画の策定支援を行っています。
そこで本記事では、事業計画の考え方のほか、計画を作るメリット、立案時のポイントなどを詳しく解説していきます。「事業計画の立て方を実はよくわかっていない」「始めたい事業があるものの、具体的な計画を立てるところで停滞してしまった」とお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
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事業計画とは
事業計画(Business Plan)とは、事業やプロジェクトを起こす際に、その後の活動や成果を計画すること、あるいはそのための文書を指します。新規事業を立ち上げる際や、既存事業を改善したりする場合には、この事業計画が「設計図」として役立ちます。
また、質の高い、よい事業計画を策定できれば、事業の信頼性が増すほか、社内のメンバーや外部からの協力者にも成功イメージを共有しやすくなり、事業の成功率を高めることができます。
この事業計画の策定について、SEEDERでは事業化に向けた最終ステップとして捉え、支援を行っています。
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「事業計画書」とは
事業計画を簡潔にわかりやすくまとめて文書化したものが「事業計画書」です。作成しておくと、社内での提案時や資金調達のためのプレゼンテーションにおいても、この事業計画書に沿ってスムーズに説明することができます。
フォーマットは個々の企業で異なりますが、SEEDERでは主に以下のような構成で事業計画書を作成しています。
■ 事業計画書の構成(一例)
なお、事業計画書には固定のフォーマットはありません。日本政策金融公庫が無料で配布しているフォーマットなどを参考にアレンジしてみてください。
参考:事業計画書(中小企業経営力強化関連用)|株式会社日本政策金融公庫
事業計画と経営計画の違い
事業ごと、あるいはプロジェクトごとに策定する事業計画とは異なり、経営計画では企業のビジョンや目標を立て、それを実現するための戦略を検討します。全体の方向性を決めるものとなるため、中長期的な視点で、直近数年間の目標を立てるのが一般的です。
■ 事業計画と経営計画の違い(例)
事業計画を立てる目的
事業計画を立てる目的は大きく2つに分けられます。事業計画書は読み手に応じて項目を調整する必要性があるため、はじめにどのような目的で作成するのかを明確にすることが重要です。
■「事業の組織内での納得度醸成」を目的とする場合
新たな事業を立ち上げるためには、社内で承認を得ることが必要です。事業計画書を作ることで、その事業の実現可能性を明らかにできます。
そのため、「メンバーあるいは決定権を持つ経営層に納得してもらうこと」が目的であれば、簡易の事業計画書を1ヶ月程度で作成することをおすすめします。メンバーが確信を持って上申することで、その事業への投資の意思決定も後押しできるでしょう。なお、承認を得た後はすばやくプロトタイプの開発や実証実験にうつることをおすすめしています。
■「ネクストアクションのブループリント」を目的とする場合
各フェーズのアクションを具体的に決定し、事業を推進していくことが目的の場合、「ビジネス戦略・ユーザー戦略・中長期の展望」の3つを明確にした事業計画書を作ることをおすすめします。
簡易の事業計画書に比べ、事業のオリジナリティや事業インパクトを伝えられるものを作成するためには、事前の情報収集や、業界の知見豊富な専門家からのアドバイスなども必要となります。
事業計画を作るメリット4つ
事業計画を作ることには、いくつかのメリットがあります。
メリット1. 経営理念や事業目的を社内外の関係者に共有しやすくなる
まず、経営理念や事業目的を社内外の関係者に共有しやすくなります。例えば、既存の事業で大きな変化を起こす場合、あるいは新規の事業を立ち上げる場合などにおいて、関係者への情報共有は特に重要です。
事業計画を十分に考えることで、方向性が明確になり、社員の理解も得られやすくなります。また、事業計画の策定過程で、自身やメンバーの事業理解も深まります。最終的には、コスト削減や業績向上につながる戦略や課題解決策の発想にもつながるでしょう。
メリット2. 自社の強み・弱みを考慮した事業を立ち上げられる
完成した事業計画だけでなく、それに先立つプロセスにも意味があります。なぜなら、計画を策定する過程で、自社の強み・弱みや課題に向き合えるからです。
自社の現状を再評価し、将来のリスクに気づくことができれば、事前に対策を講じることも可能です。ただし、自社の社員のみで調査を行うには膨大な時間がかかります。適宜、外部の人材や協力者をメンバーとして迎えることで、現状や課題の把握にかかる時間を短縮することができます。業務を分担することで、計画をブラッシュアップする時間も確保可能です。
メリット3. 資金調達の成功率が高まる
特に資金調達を計画している場合は、事業計画書を作成しておくことをおすすめします。
事業計画書に沿って説明することによって、資金調達の成功率は高まり、社内外からの協力や融資を引き出せる可能性が高まります。不十分な説明はトラブルを引き起こす可能性があるため、事業計画をじっくりと考え、文書化しておくことが重要です。
メリット4. 将来の課題を予測しておくことができる
「新たな事業を始めたい」という方にとって、事業計画の作成は将来の課題を予測する重要な機会となります。従来のビジネスのアイデアやコンセプト、市場の状況などを調査し、ユーザーの声をもとに将来のトレンドや変化を予測することで、事業の方向性を明確にすることができます。
将来の課題を予測し、適切な対策を講じることは、企業にとって持続的な成長と競争力の確保に向けた重要なステップとなるでしょう。
参考:
新規事業の開発を外注するメリットとデメリット
新規事業の立ち上げで外注すべきポイントとは?人材の探し方を解説
事業計画の立て方4ステップ
続いて、事業計画を立てる際のステップをご説明します。
ステップ1. 外部環境・内部環境を徹底的に分析する
自社の外部環境と内部環境を把握することが、事業計画策定のファーストステップです。SWOTなどのフレームワークを用いて、まずは現況を整理・分析しましょう。
外部環境としては、市場規模、社会のニーズ、事業の将来性、競合他社の情報などが挙げられます。この外部環境については、その業界の知見豊富な方からの意見が非常に役立つため、外部からそのような人材を招くことをおすすめしています。(参考:事業計画を外注する方法とメリット)
一方、内部環境については従業員の状況、自社の強み・弱み、競合優位性などを確認することが重要となります。
■ 調査分析を行う項目(一例)
参考:マーケティング担当者におすすめ!競合分析に使えるフレームワーク4選
ステップ2. 課題を抽出し、解決策や事業アイデアを発想する
ステップ1で分析した情報をもとに、自社の課題を明らかにします。この課題抽出において、SEEDERでは「顧客の声」のヒアリングを実施しています。
顧客の声を聞くことで、「誰の課題をどのように解決するのか」を理解することができます。これにより、顧客のニーズに合わせて製品やサービスを開発し、市場での競争力を高めることができます。ただし、顧客の声をヒアリングする際には、適切な質問を用意し、顧客の本当の声を引き出すことが重要です。
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ステップ3. 発想したアイデアの受容性を検証する
発想したアイデアが実現可能なものであれば、今度はそのアイデアの受容性を検証する必要があります。顧客のフィードバックや市場調査を活用し、「そのアイデアが実際に受け入れられるかどうか」を確認しましょう。
また、得られたフィードバックに基づき、アイデアを修正・改善することも重要です。最終的な顧客満足度の向上にもつながるため、このステップにおいても「顧客の声」は欠かせません。
ステップ4. 事業計画を作り、議論しながら修正していく
事業計画を作成した後は、議論しながら修正していくプロセスが重要です。関係者とのコミュニケーションを通じて計画を改善する中で、問題点や課題を特定することもできます。
議論を通じて新たなアイデアや戦略を導入すれば、事業計画の質を向上させることも可能です。また、第三者の視点からのフィードバックを受けることで、より包括的な計画を策定することができるでしょう。
以上、4つのステップが事業計画を立てる際には必要です。
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事業計画を考えるうえで重要なポイント3つ
最後に、事業計画の考え方として、3つのポイントをご紹介します。
ポイント1. 事業を行う目的・目標を明確にしておく
事業計画を策定する際には、まず事業を行う目的や目標を明確にしておくことが重要です。
「なぜ、自社でこの事業に取り組むべきなのか」という意義を言語化し、事業計画の冒頭で伝えるとよいでしょう。また、目的が明確化されていると、第三者を専門家として招く場合に、自社の方針や事業の方向性を伝えやすくなるメリットもあります。
目標については、新しい市場に参入するための目標や、既存顧客を満足させるための目標を設定することがあります。
ポイント2. 経営者や社員だけでなく関係者とともに作り上げる
事業計画を成功させるためには、経営者や社員だけでなく、関係者との協力が重要です。チームを構築し、顧客やパートナーの意見や知見を取り入れることで、より具体的かつ効率的に事業計画を作り上げることができます。
市場のニーズやトレンドを的確に把握し、事業計画をブラッシュアップすることもできるでしょう。
ポイント3. 具体的な数値目標とアクションプランを設定する
事業計画を具体化するためには、数値目標とそれに対するアクションプランを設定することも重要です。具体的な数値目標を設定することで、目標達成のための具体的な行動が明確になります。
例えば、売上目標や利益目標を設定し、それに向けたマーケティング戦略や販売戦略を策定するとよいでしょう。市場規模や競合サービスの動向を参考にしながら、事業立ち上げ後、数年間の売上推移を予測しておくことも重要です。
SEEDERが実践する「アイデア先行の事業開発」
一般的には新規事業を開発する際、はじめに現状を詳しく分析した後、課題を明らかにし、その解決策となるアイデアを数多く出していきます。つまり、「どの市場を狙うか」を網羅的に検討し、「参入する市場や商品を決定する」という順番で考えるため、実現するまでに時間がかかります。
一方、SEEDERでは「アイデア先行」での事業開発を推奨しています。この考え方では「現時点で課題を感じている市場や商品に関するアイデア」を出し、その上で「どのように自社のリソースが活用できるか」を検討します。そのため、すばやく今の最適解を決定できるというメリットがあります。
SEEDERデータベースを活用した活用した新商品 / 新規事業アイデア発想支援
まとめ:事業計画を作ることが、自社の業績アップにつながる
本記事では、「質の高い事業計画」を作るための考え方を中心にご紹介しました。顧客の声や市場調査の結果に基づき、事業の方針や戦略を明確に定め、実行可能な計画を立てることで、自社の目標達成に向けた一歩を踏み出すことが可能です。
SEEDERでは、経験豊富な専門家をパートナーとしてチームを構築し、ビジネスの成功率を高めるための支援を行っています。まずはこちらからお気軽にご相談ください。