新規事業の立案やアイデア出しに役立つフレームワーク18選をご紹介

「新規事業を任されたけど、アイデアが思い浮かばない」「新規事業の立案に役立つフレームワークを知りたい」このようなお悩みを抱えていませんか。

新規事業を成功させるためには、効果的なアイデアの創出と計画的な立案が不可欠です。しかし、初めて新規事業を立ち上げる際や、新たな方向性を模索している際には、どこから手をつければよいのか迷うこともあるでしょう。

こうしたときに役立つのが「フレームワーク」です。フレームワークを活用することで、思考を整理し、プロセスを効率化しながら、確実に結果を出すための道筋を描くことができます。本記事では、新規事業のアイデア出しから計画、実行、改善に至るまで、各段階で利用できるフレームワークを幅広くご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

新規事業の立案にフレームワークを活用するメリット

新規事業の立案では、多くの情報を集め、分析し、実行に移すまでのプロセスが複雑になることが少なくありません。そんな中で、フレームワークは計画を明確にし、スムーズに進行させるための有力なツールです。以下では、フレームワークを活用することで得られる主なメリットを紹介します。

抜け漏れを防げる

新規事業を進める上での大きな課題の一つが、重要な要素を見落とすリスクです。フレームワークは、事業立案に必要な要素を体系的に整理するため、抜け漏れを防ぐのに役立ちます。たとえば、ビジネスモデルキャンバスを利用すれば、顧客セグメント、収益構造、パートナーシップなど、事業の重要な側面を網羅的に検討できます。これにより、計画の不備を防ぎ、より確実な事業構築が可能になります。

時間を効率化できる

フレームワークは、新規事業に必要な情報や分析を構造化するため、無駄な時間を省くことができます。たとえば、事業計画をゼロから作り上げる場合、何を優先して考えるべきか迷うことがあるでしょう。しかし、フレームワークを利用すれば、あらかじめ設定されたステップに従って進められるため、余計な試行錯誤を減らすことができます。その結果、短期間で的確な結論にたどり着けるため、全体のプロジェクト効率が大幅に向上します。

思考を整理できる

新規事業の計画では、さまざまなアイデアや情報が錯綜し、全体像を見失いがちです。フレームワークは、こうした混乱を解消し、思考をクリアにしてくれます。たとえば、SWOT分析を用いれば、自社の強みや弱み、市場の脅威や機会を整理し、現状を正確に把握することが可能です。これにより、何を重視して進めるべきかが明確になり、より良い意思決定につながります。

チーム内で共有できる

フレームワークは、チーム全体での共通言語となる点でも大きなメリットがあります。新規事業の立案では、関係者がそれぞれ異なる視点や意見を持ち寄るため、話がかみ合わないことも少なくありません。しかし、フレームワークを使えば、分析や計画の基準が統一され、誰もが同じ理解のもとで議論を進めることができます。これにより、意思疎通がスムーズになり、プロジェクトの一体感が高まります。

h2 新規事業のアイデア出しに役立つフレームワーク4選

新規事業の成功は、ユニークで価値のあるアイデアから始まります。しかし、良いアイデアを思いつくのは簡単ではありません。ここで紹介するフレームワークは、発想を広げたり、新しい視点を提供したりするのに役立つものです。それぞれの特徴を理解し、状況に応じて活用してみてください。

SCAMPER(スキャンパー)法

SCAMPER法は、既存のアイデアや製品を基にして新しい発想を得るためのフレームワークです。この手法では、Substitute(代用)、Combine(結合)、Adapt(応用)、Modify(修正)、Put to other uses(転用)、Eliminate(削減)、Reverse(逆転・再編成)の7つの視点からアイデアを考えます。

このフレームワークは、既存の製品やサービスの改良案を考えたいときに特に有効です。たとえば、「既存の機能を他の素材で代用したらどうなるか?」や、「全く異なる市場に転用できないか?」といった質問を通じて、新しい価値を創出できます。製品開発やマーケティング戦略の立案など、幅広い場面で活用可能です。

マンダラート

マンダラートは、中心にテーマを置き、それに関連するアイデアを周囲に展開していくフレームワークです。最終的には9×9のグリッドに関連アイデアを埋めていき、発想を広げていきます。

このフレームワークは、アイデアがなかなか出ないときや、既存のアイデアを深掘りしたいときに効果的です。たとえば、「新規事業として提供したい価値」を中心に置き、それに関連する顧客層や市場ニーズ、実現手段を周囲に展開することで、より具体的な方向性を見出せます。個人のブレインストーミングだけでなく、チーム全体でアイデアを共有する際にも役立ちます。

5W1H

5W1Hは、Who(誰)、What(何を)、Where(どこで)、When(いつ)、Why(なぜ)、**How(どうやって)**の6つの質問に答えることで、物事を多角的に考えるためのフレームワークです。

この手法は、事業のターゲット顧客や市場、提供する価値を明確にするのに適しています。たとえば、「誰に提供するのか(Who)」、「どのような課題を解決するのか(What)」などの問いを深掘りすることで、事業計画に必要な具体的な要素を整理できます。初期段階のアイデア整理や計画立案の基礎作りに活用されます。

ペルソナ分析

ペルソナ分析は、典型的な顧客像(ペルソナ)を詳細に設定し、その視点から事業アイデアを評価・改善する手法です。年齢、性別、職業、趣味、価値観などを設定し、顧客のニーズや課題を具体的に想定します。

このフレームワークは、顧客視点での価値創造を目指す際に非常に有効です。たとえば、「30代の働く母親」をペルソナとして設定し、彼女が抱える課題を解決するサービスを考えることで、ニーズに応じた新規事業を設計できます。マーケティング施策やサービス開発での実践的な活用が期待できます。

新規事業の市場調査・分析に役立つフレームワーク5選

新規事業の成功は、入念な市場調査と分析にかかっています。市場の動向や競合の状況、自社の強みを客観的に把握することで、的確な戦略を立てることが可能になります。ここでは、市場調査や分析に役立つ代表的なフレームワークを5つご紹介します。

SWOT分析

SWOT分析は、自社のStrengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)を整理し、戦略を立てるためのフレームワークです。内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を区別し、それぞれを評価することで、自社が市場で取るべき行動を明確にします。

このフレームワークは、現在の立ち位置を俯瞰し、次の一手を考える際に特に有効です。たとえば、「競合他社に対する強みをどのように活かすか」「市場の変化にどのように対応するか」といった課題に答えることができます。

3C分析

 

3C分析は、Company(自社)、Competitors(競合)、Customers(顧客)の3つの要素を分析するフレームワークです。自社の能力、競合の戦略、顧客のニーズを比較することで、効果的な市場戦略を見出します。

このフレームワークは、競争の激しい市場で差別化を図るために適しています。たとえば、競合がターゲットとしていないニッチ市場を探し、そこに特化した新規事業を展開する、といった具体的な施策を考える際に役立ちます。

アドバンテージマトリクス

アドバンテージマトリクスは、企業が競争優位を持つ市場や製品のポートフォリオを評価するためのフレームワークです。「競争優位性」と「市場魅力度」を軸にマッピングし、自社がどの分野にリソースを集中させるべきかを決定します。

たとえば、競争優位性が高く市場魅力度も高い分野には積極投資を行い、市場魅力度が低いが競争優位性がある分野ではコスト削減を進める、といった具体的な判断が可能になります。

VRIO(ヴリオ)分析

VRIO分析は、企業の内部リソースや能力を評価するためのフレームワークです。Value(価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣困難性)、Organization(組織)の4つの視点から、自社が持つ資源が競争優位をもたらすかを分析します。

このフレームワークは、内部リソースを効果的に活用して差別化を図りたいときに役立ちます。たとえば、自社独自の技術やブランドが市場でどの程度の競争力を持つのかを評価し、事業戦略に活かせます。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップは、競合他社と自社を比較し、市場内での位置づけを視覚的に把握するためのフレームワークです。価格や品質、サービス内容など、特定の軸を設定し、それに基づいてマッピングします。

この手法は、競争環境を視覚的に理解し、差別化のポイントを見つける際に効果的です。たとえば、「高品質だが高価格」の競合が多い市場で、「高品質かつリーズナブルな価格」を提供することで新たな顧客層を狙う、といった戦略を構築できます。

新規事業の事業内容構築に役立つフレームワーク4選

新規事業を計画する際には、事業内容の具体化が不可欠です。この段階では、どのような商品やサービスを提供するか、どのような市場で競争するかを明確にする必要があります。ここでは、事業内容の構築を効率的に進めるために役立つフレームワークを4つご紹介します。

4P分析

4P分析は、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4つの要素を軸に事業を設計するフレームワークです。この分析を通じて、製品の特性や価格戦略、販路、広告手段を具体化することができます。

たとえば、新規事業として飲料を販売する場合、商品自体の特徴(健康志向なのか高級志向なのか)、価格帯、販売場所(オンライン限定か実店舗展開か)、広告戦略(SNS広告や口コミ活用など)を詳細に検討することで、ターゲット市場に最適な事業設計が可能になります。

4C分析

4C分析は、顧客視点に立った事業内容構築を目指すフレームワークです。Customer Value(顧客価値)、Cost to the Customer(顧客コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つの視点で分析を行います。

このフレームワークは、消費者のニーズを正確に把握し、それに応じた商品やサービスを設計するのに適しています。たとえば、「顧客が求める価値は何か?」や「どの販売手段が最も便利か?」といった観点を掘り下げることで、顧客満足度の高い事業内容を構築できます。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は、事業環境を取り巻く競争要因を5つに分けて評価するフレームワークです。新規参入の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力、代替品の脅威を分析し、自社が置かれている環境の競争力を明らかにします。

このフレームワークを活用することで、事業のリスクを低減し、競争優位を確立する方法を見つけることができます。たとえば、新規参入が難しい業界で事業を構築する際には、参入障壁を生かして独自の優位性を築く戦略が考えられます。

ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスは、新規事業の全体像を俯瞰するためのフレームワークです。顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客関係、収益の流れ、リソース、活動、パートナー、コスト構造の9つの要素から事業を設計します。

このフレームワークは、事業構築に必要な要素を網羅的に整理できるため、全体像を把握しながら細部を詰める作業に適しています。たとえば、顧客層に合わせた価値提案を設定し、それを提供するためのリソースやチャネルを具体化することで、事業計画を体系的に設計できます。

新規事業の修正・改善に役立つフレームワーク5選

新規事業は、計画通りに進むことばかりではありません。実際には、市場環境の変化や予期せぬ課題に対応しながら、事業内容を修正・改善していく必要があります。この段階で活用できるフレームワークを5つ紹介します。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、事業活動を**主活動(物流、製造、販売など)と支援活動(調達、技術開発、人事・労務管理など)に分け、それぞれのプロセスがどのように付加価値を生み出しているかを分析するフレームワークです。

この分析により、事業運営のどの部分で無駄が生じているのか、どのプロセスを強化すべきかを明確にすることができます。たとえば、生産コストが高騰している場合、その原因が調達方法にあるのか、製造工程にあるのかを特定し、効率化のための対策を講じることができます。

PDCAサイクル

PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4段階を繰り返すことで、事業の継続的な改善を図るフレームワークです。

この手法は、実施した施策がどの程度効果を発揮しているかを検証し、それをもとに改善策を講じる際に有効です。たとえば、新しいマーケティング施策を試した場合、その成果を評価し、次回の計画に反映することで、成功確率を高めることができます。

AARRR(アー)

AARRRは、Acquisition(獲得)、Activation(活性化)、Retention(維持)、Revenue(収益)、Referral(紹介)の5つの指標を分析するフレームワークです。特にスタートアップやオンラインサービスで顧客行動を評価し、改善点を見つけるために活用されます。

たとえば、獲得(Acquisition)段階で多くのユーザーが訪れるが、活性化(Activation)が低い場合、初回利用時の体験を改善する必要があると判断できます。このように、各指標に基づいて具体的な改善策を立案できます。

ECRS(イクルス)

ECRSは、Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(再配置)、Simplify(簡素化)の4つの視点から業務プロセスを見直すフレームワークです。業務の効率化やコスト削減を目的として用いられます。

たとえば、物流プロセスにおいて、「一部の作業を排除できないか(Eliminate)」、「複数の工程をまとめられないか(Combine)」といった視点で改善を図ることで、効率化を実現できます。

PLC(プロダクトライフサイクル)

PLC(プロダクトライフサイクル)は、製品やサービスのライフサイクルを導入期、成長期、成熟期、衰退期の4段階に分け、それぞれの段階に適した戦略を立てるフレームワークです。

たとえば、新規事業のサービスが成長期にある場合、顧客基盤の拡大を目指した積極的なマーケティング投資が有効です。一方、成熟期ではコスト管理やブランド維持が重要になります。このように、事業のライフステージに応じて柔軟な戦略を立案できます。

フレームワークを活用する際の注意点

フレームワークは新規事業の計画や実行を支える強力なツールですが、効果的に活用するためには注意が必要です。誤った使い方をすると、かえって混乱を招く可能性もあります。ここでは、フレームワークを活用する際の注意点を解説します。

目的・状況にあったフレームワークを使う

フレームワークにはそれぞれ得意分野や目的があります。目的や状況に合ったフレームワークを選ばなければ、正確な分析や有益な結果を得ることは難しいでしょう。たとえば、事業環境を分析したいときに内部リソースに特化したVRIO分析を使うのは適切ではありません。一方、競合や市場の全体像を把握するには3C分析が有効です。まずは、自分たちが解決したい課題や達成したい目標を明確にし、それに最適なフレームワークを選ぶことが重要です。

分析に時間を掛けすぎない

フレームワークの活用において、分析に過剰な時間を費やすことは避けるべきです。特に新規事業の初期段階では、迅速な意思決定と行動が求められることが多いため、完璧な分析を追求しすぎると、タイミングを逃す可能性があります。フレームワークはあくまで意思決定を支援するツールであり、分析自体が目的ではありません。限られた時間の中で要点を押さえた活用を心がけることで、スピード感のある事業推進が可能になります。

客観的な視点で取り組む

フレームワークを活用する際には、主観的なバイアスに陥らないよう注意が必要です。自社の強みを過大評価したり、競合の脅威を軽視したりすると、誤った結論に至る可能性があります。たとえば、SWOT分析を行う際、自社の弱みや市場の脅威を正確に評価しないと、リスクを見落としてしまいます。データや事実に基づき、客観的な視点で分析を進めることが成功への鍵です。

まとめ

新規事業の成功には、計画、実行、改善を繰り返しながら、確かな基盤を築いていくことが重要です。本コラムでは、アイデア出しから市場調査、事業内容の構築、修正・改善まで、各段階で活用できるフレームワークを紹介しました。これらのフレームワークを効果的に使うことで、複雑な課題を整理し、最適な意思決定を行うことができます。

また、フレームワークを活用する際には、自社の目的や状況に適したものを選び、時間を効率的に使い、客観的な視点で取り組むことが大切です。適切なツールと正しい使い方を組み合わせることで、事業の成功確率を大きく高めることができるでしょう。

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この記事を書いた人

吉冨 剛典 吉冨 剛典 マーケティング担当

大手企業・ベンチャー企業にて事業開発を10年以上経験。
市場動向に即したビジネススキームの構築に強み。
PoC推進支援、事業計画の策定など新サービス / ブランドの立ち上げ実績多数。

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