新規事業のアイデアを生み出す方法とは?開発に役立つフレームワークやコツを紹介

「新規事業を立ち上げたいけど、アイデア出しが上手くいかない…」「アイデア開発に役立つ方法を知りたい…」このように、会社で新規事業を任され、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。

特に、新規事業といえど、ヒト・モノ・カネといった会社のリソースを使うため、単に思いつきではなく、成功する可能性が高いアイデアを生み出したいものです。そのようなイノベーティブなアイデアはどうやって生み出せるのでしょうか。

新規事業において重要なのは、顧客のニーズを深く理解し、独自の価値を提供することです。そのためには、アイデア発想のコツを押さえ、事業の実現可能性を見極める力を養う必要があります。

そこで本記事では、新規事業のアイデアを生み出す方法や、アイデア開発に役立つフレームワークをご紹介します。「想像力がないため、アイデア出しが苦手」といったお悩みを抱えている方でも、この記事で紹介するコツを押さえれば、きっと周囲も驚くようなアイデアが閃きますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

新規事業の良いアイデアとは?

新規事業を成功させるには、良いアイデアが不可欠です。しかし、アイデアの良し悪しを判断するのは容易ではありません。

特に、新規事業の良いアイデアには、「新規性」「解決性」「収益性」の3つの要素が備わっていることが大切です。ここでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

新規性

新規事業のアイデアに求められる第一の要素は「新規性」です。新規性とは、既存の製品やサービスとは明確に差別化された、独自の価値を提供できることを意味します。

例えば、2007年に登場したiPhoneは、従来の携帯電話とは全く異なるタッチパネルインターフェースと革新的なエコシステムを備えており、高い新規性がありました。その結果、iPhoneは新たなスマートフォン市場を創出し、大きな成功を収めました。

新規性の高いアイデアを生み出すには、以下の点がポイントになります。

  • 顧客の潜在ニーズを発見する:顧客が抱える課題や不満から、まだ気づいていない潜在ニーズを見つけ出しましょう。
  • 既存の枠組みにとらわれない:業界の常識や固定観念を疑い、全く新しい視点からアイデアを考えることが重要です。
  • 技術トレンドを把握する:AI、IoT、VRなど、新たな技術の可能性を理解し、活用することで、革新的なアイデアが生まれやすくなります。

解決性

新規事業のアイデアには「解決性」も重要な要素です。解決性とは、顧客の課題や悩みを解決するソリューションを提供できることを意味します。

例えば、米国のD2Cブランド「Casper」は、消費者のマットレス選びの悩みを解決するために、たった1種類の高品質マットレスをオンラインで販売するビジネスモデルを確立しました。

顧客は店舗に行く必要がなく、100日間の返金保証付きで自宅で試せるため、安心して購入できます。その結果、Casperの解決性の高さが支持され、同社は急成長を遂げています。

良いアイデアは顧客の切実な課題を解決に導くものです。解決性を高めるには、以下の取り組みが有効でしょう。

  • 顧客の課題を具体的に把握する:顧客にインタビューを行ったり、現場を観察したりして、顧客の抱える課題を具体的に理解することが大切です。
  • 課題解決のシナリオを描く:アイデアがどのように顧客の課題を解決するのか、ストーリーを描いてみましょう。筋の通ったシナリオなら解決性は高いと言えます。
  • ニーズが大きい課題を選ぶ:多くの顧客が悩んでいる課題に取り組むことで、事業の成長性を高められます。

収益性

良いアイデアは「収益性」も満たしている必要があります。収益性とは、そのアイデアで十分な利益を生み出せる可能性が高いことを意味します。「解決性」が高くても、提供価値に対して顧客が支払える金額が小さければ、ビジネスとしては成立しません。

一方、顧客の課題を完全に解決しなくても、提供価値に対する支払意欲が大きければ、収益性の高いビジネスになる可能性があります。

例えば、ニュージーランド発のクラウド会計ソフト「Xero」は、シンプルな機能と安価な料金設定で中小企業の支持を集めています。大企業向けの高機能な会計ソフトと比べると、提供価値は劣るものの、中小企業にとって十分な価値があり、導入のハードルも低いため、高い収益性を実現しているのです。

アイデアの収益性を高めるには、以下のような視点を持つことが大切です。

  • ターゲット顧客の支払能力を見極める:ターゲット顧客の課題がどの程度切実で、いくらまで支払える可能性があるのかを見極めましょう。
  • 適切な価格設定を行う:顧客の支払意欲と提供価値のバランスを取った価格設定を行うことが収益向上のカギとなります。
  • 競合他社の価格を把握する:競合他社の価格帯を調査し、自社の価格設定の妥当性を検討することも重要です。

ビジネスを成功させるには、提供価値に見合った対価を得られるかどうかが重要なポイントとなるのです。アイデアの良し悪しは、「新規性」「解決性」「収益性」をバランス良く兼ね備えているかどうかで判断することができます。

この3つの要素を意識してアイデア創出に取り組むことで、事業成功の確率を高めることができるでしょう。

新規事業のアイデア開発に役立つフレームワーク

新規事業のアイデア開発を行う際、発想を助けてくれるフレームワークを活用すると効果的です。適切なフレームワークを用いることで、着眼点が広がり、より独創的なアイデアが生まれやすくなるでしょう。

創造性を発揮しながらも、ビジネスとして成立するアイデアを生み出すには、一定の思考プロセスが欠かせません。ここでは、新規事業のアイデア開発に役立つ7つのフレームワークを詳しく解説します。

マンダラート(マンダラチャート)

マンダラートは、マインドマップの一種で、3×3のマス目を使ってアイデアを整理・拡張するフレームワークです。中心のマスにテーマを設定し、周囲の8つのマスにその連想語を書き出していくことで、テーマを多角的に掘り下げられるのがポイントです。

例えば、中心のマスに「飲食店の新サービス」と設定し、「ヘルシーメニュー」「料理教室」「オンライン予約」など、関連するアイデアを周囲のマスに広げていきます。

さらに、それぞれのマスをテーマに、2段階目のマンダラートを作成すると、アイデアが64個に増えます。 このように、マンダラートの特徴は次のとおりです。

  • 短時間で効率的にアイデアを量産できる
  • 思考の視点を切り替えることで、新しい発想が生まれる
  • 抽象度の異なるアイデアを組み合わせられる

マンダラートはシンプルなフレームワークですが、多角的な発想を引き出す力があるのです。

新規事業のアイデア出しにおいて、検討の土台を作る道具としてぜひ活用してみてください。

KJ法

KJ法は、アイデア出しの際に出た意見を整理し、グループ化していく手法です。収集したアイデアを似たもの同士で集めて「島」を作り、それぞれの島にタイトルを付けることでアイデアを体系化していきます。

新規事業のアイデア開発では、例えば以下のような流れでKJ法を実践できます。

  1. 付箋に思いついたアイデアを1枚に1つずつ書き出す
  2. テーブルの上に付箋を広げ、似ているアイデアを集めて島を作る
  3. 各島の内容を表すタイトルを考え、別の付箋に書いて貼る
  4. タイトル付箋をもとに、島同士の関連性を整理する
  5. 最終的に残った島とタイトルから、有望なアイデアを絞り込む

KJ法を使えば、以下のようなメリットがあります。

  • アイデアを可視化し、関連性を明らかにできる
  • グループの知恵を結集して、アイデアをブラッシュアップできる
  • 議論を通じて、メンバー間の理解や合意形成が進む

KJ法は、チームでアイデアを出し合う際に効果を発揮します。多様な視点を持つメンバーを集め、KJ法でアイデアを集めることで、新規事業として成立する斬新なアイデアが生まれる可能性が高まるでしょう。

マトリックス法

マトリックス法は、縦軸と横軸にそれぞれ異なる要素を設定し、その組み合わせからアイデアを発想するフレームワークです。新規事業を検討する際は、「顧客セグメント」と「提供価値」の観点でマトリックスを作成すると良いでしょう。

例えば、顧客セグメントとして「学生」「主婦」「高齢者」、提供価値として「利便性」「エンターテインメント性」「低価格」を設定したとします。

この場合、「学生×エンターテインメント性」といったマス目から、「スマホでできる新感覚のクイズゲームアプリ」といったアイデアが連想されるかもしれません。

マトリックス法の特徴は以下の通りです。

  • 2つの軸を掛け合わせることで、新しい組み合わせを見出せる
  • 網羅的にアイデアを出せるため、検討漏れが防げる
  • アイデア出しのポイントが明確なので、初心者でも取り組みやすい

ただし、マトリックス法で出たアイデアをそのまま事業化するのは難しいでしょう。むしろ、他のフレームワークと組み合わせて使うことで、マトリックス法の真価を発揮できます。発想を広げるツールの1つとして、活用してみてはいかがでしょうか。 

ロジックツリー

ロジックツリーは、ある目標を達成するために必要な要素を階層構造で整理するフレームワークです。「〜するためには、何が必要か?」と論理的に掘り下げていくことで、アイデアの核心部分を明らかにできます。

新規事業のテーマ設定では、例えば以下のように、ロジックツリーを使って考えられます。

  1. 「売上100億円の新規事業を立ち上げる」という目標を立てる
  2. 「そのためには、圧倒的な顧客価値の提供が必要」と1段階ブレイクダウンする
  3. 「顧客価値を生むには、独自技術の確立が必須」とさらに掘り下げる
  4. 「独自技術の確立には、社内の技術シーズの棚卸しが欠かせない」と具体的な行動レベルまで落とし込む

 

このようにロジックツリーを使うことで、次のようなメリットが得られます。

  • 目標達成に必要な要素を論理的に分解できる
  • 抽象度の高いアイデアを、具体的な施策レベルまで落とし込める
  • 事業アイデアの実現可能性を確認しながら検討できる

特に、ロジックツリーは事業コンセプトの妥当性を検証するのに役立ちます。最初は大まかなイメージでも、ロジックツリーで分解していくことで、事業の全体像が見えてくるはずです。曖昧だったアイデアに、現実味を持たせるフレームワークとして活用しましょう。

マインドマップ

 

マインドマップは、中心テーマから放射状に連想を広げていく発想法です。テーマに関連する単語を枝のようにつなげていき、自由に思考を展開させるのが特徴です。

新規事業のアイデア出しでは、例えば中心に「モバイルアプリ」と置いてマインドマップを描くとします。最初の枝として「SNS」「ゲーム」「教育」など、アプリのジャンルを伸ばします。

さらに「SNS」から「写真共有」「チャット」といった枝を伸ばし、「教育」からは「語学学習」「資格取得」といった具体的なアイデアにつなげていきます。

マインドマップには、以下のような利点があります。

  • 放射状に広げることで、発散的に考えられる
  • 絵や図を活用でき、視覚的に整理しやすい
  • 思考の流れが途切れにくく、アイデア出しが苦手な人でも取り組める

ただし、発想が拡散しすぎて脱線してしまうリスクもあります。あくまでアイデア発掘のツールと割り切り、出てきたアイデアは別の場で吟味することが大切です。マインドマップで自由な発想を楽しみながら、新規事業のタネを見つけましょう。

形態分析法

形態分析法は、プロダクトやサービスの構成要素を切り分けて、それぞれの要素を自由に組み合わせることでアイデアを生み出す手法です。まずは、分析対象を機能別に分解し、各機能の実現方法をリストアップします。そこから、機能と実現方法の新たな組み合わせを考えるのがポイントです。

例えば、「IoT活用の新規事業」を形態分析法で検討するなら、「センサー技術」「通信方式」「データ解析手法」「アウトプット機器」といった切り口で機能を分解します。

この際、1つの切り口につき3つ以上の選択肢を出すのがコツです。その上で、「赤外線センサー×5G通信×機械学習×スマートスピーカー」など、各要素を掛け合わせて斬新なアイデアを考えていきます。

形態分析法の特徴をまとめると、以下のようになります。

  • 既存のプロダクト・サービスを新しい視点で見直せる
  • 体系的にアイデアを整理でき、抜け漏れがない
  • 機能と実現方法の組み合わせの中に、画期的なアイデアが眠っている

一方、どの組み合わせが有効かは別途検証が必要なため、尺度を設けてアイデアを評価するプロセスも重要になります。形態分析法で発想を広げつつ、事業性の観点からアイデアをブラッシュアップしていくのが望ましいでしょう。

オズボーンのチェックリスト

オズボーンのチェックリストは、アイデアをブラッシュアップする際のガイドラインとなる質問集です。「他の用途は?」「拡大・縮小は?」「逆さまにすると?」など、アイデアを異なる角度から見直すための9つの問いが用意されています。

新規事業のアイデアに対し、例えば以下のようにチェックリストを使って考えられます。

  • 「駅前の空き店舗を活用したシェアオフィス事業」というアイデアに対し、
  •  「組み合わせると?」という問いを投げかける
  • 「コワーキングスペースとカフェを融合したら、新しい価値を提供できるのでは?」と考える
  • 「省略すると?」という問いからは、「店舗スペースをなくして、オンライン完結型のシェアオフィスが実現できないか?」といったアイデアが生まれる

オズボーンのチェックリストには、次のような利点があります。

  • 固定観念に捉われない柔軟な発想ができる
  • 既存のアイデアを改善し、ブラッシュアップできる
  • 短時間で着眼点を変えられるため、手軽に実践しやすい

チェックリストを1つずつ当てはめていくだけでも、様々なアレンジ案が浮かんでくるはずです。

画期的なアイデアというより、実現可能なアイデアを生み出すのに向いたフレームワークと言えるでしょう。事業アイデアの鍛え直しに、ぜひ活用してみてください。

新規事業のアイデアを生み出すコツ

新規事業のアイデア開発において、発想の転換は欠かせません。しかし、いざアイデアを出そうとしても、なかなか斬新な発想ができないと悩んでいる方は多いのではないでしょうか。実は、アイデア発想のコツを掴めば、誰でも独創的なアイデアを生み出すことができるのです。ここでは、新規事業のアイデアを生み出す3つのコツを詳しく解説していきます。

固定概念にとらわれずに考える

新規事業のアイデアを出すには、まず固定概念を取り払うことが重要です。私たちの頭の中には、知らず知らずのうちに思考の枠組みが出来上がっているもの。その固定観念が、新しい発想を妨げている可能性があります。

例えば、「飲食店を開業するには店舗物件が必要」という先入観があると、「食材の宅配サービス」や「キッチンカーでの移動販売」といったアイデアは浮かびづらくなってしまいます。

固定概念を取り払うには、以下のような方法が有効です。

  • あえて非日常的な環境に身を置き、普段とは違う刺激を受ける
  • 全く異なる業界の事例を調べ、そのエッセンスを自社に取り入れられないか考える
  • 「もし、〜だったらどうなるか」と逆説的に発想してみる

「当たり前」を疑うことで、これまでとは違う視点からアイデアを考えられるはずです。固定概念にとらわれない柔軟な発想を心がけることが、斬新なアイデア発想の第一歩となります。

身の回りの不から考える

次に、身の回りの不満や不便から、アイデアを発想してみましょう。イノベーティブなアイデアの多くは、日常生活のちょっとした問題から生まれています。

スマートフォンを開発したApple社は、「ポケットに入る」「ワンタッチで使える」など、ユーザー目線の利便性を徹底的に追求しました。iPhoneが大ヒットした背景には、携帯電話の不便さを解消したいというユーザーの切実な想いがあったのです。

新規事業のタネを見つけるには、以下のようなことを意識するとよいでしょう。

  • 自分自身が感じている不満や課題を洗い出してみる
  • 家族や友人、同僚の悩みに普段から耳を傾ける
  • アンケートやインタビューを通して、顧客の不満を直接聞き出す

私たち自身や身近な人が抱える問題は、多くの人が共感できる課題である可能性が高いのです。「あったらいいな」と感じるアイデアを形にすることで、イノベーティブなビジネスが生まれるきっかけになるかもしれません。

外部の意見も参考にする

最後に、社外の意見を取り入れることも、アイデア発想には欠かせません。社内には「業界の常識」ともいうべき暗黙知が蓄積されているため、同じ視点でしか物事を捉えられなくなりがちです。外部の意見を聞くことで、自社には無い新たな気づきが得られるでしょう。

例えば、乳業メーカーの明治は、流通・小売業との勉強会を定期的に開催しています。販売現場の生の声を聞くことで、消費者ニーズを汲み取り、新商品開発につなげているのです。同社が「ザバス」や「R-1」などのヒット商品を生み出しているのは、まさに外部の視点を積極的に取り入れているからだと言えます。外部意見を取り入れる方法としては、以下のようなものがあります。

  • 異業種交流会に参加し、他社の取り組みを学ぶ
  • オープンイノベーションを活用し、スタートアップ企業と協業する
  • SNSで顧客の生の声を収集し、分析する

普段から外部との接点を持つことで、新しい発想のヒントが見つかります。「業界の常識」に縛られずに、柔軟にアイデアを取り込んでいくことが大切だと心得ておきましょう。固定概念を取り払い、身の回りの不便や外部の意見に目を向ける。

これら3つのコツを意識して日頃から実践することが、イノベーティブな事業アイデアを生み出す近道となるはずです。発想の引き出しを増やす努力を地道に積み重ねることで、他社には真似のできないユニークなアイデアが必ず見つかるでしょう。

大企業の新規事業開発事例を3つ紹介

新規事業の立ち上げには、アイデア発想だけでなく、事業化に向けた戦略的な取り組みが欠かせません。大企業の中には、新規事業開発のための専門組織を設け、イノベーションの創出に力を注いでいるところも多いのです。

そこで本セクションでは、新規事業開発に積極的に取り組む国内大手企業3社の事例を詳しく見ていきましょう。各社の新規事業開発の特徴や工夫から、新規事業を成功に導くヒントが見えてくるはずです。

パナソニック「Panasonic β」の挑戦

パナソニックでは2017年、新規事業創出の専門組織「Panasonic β」を立ち上げました。同社の強みである技術力を活かしつつ、これまでのビジネスモデルにとらわれない事業開発を目指しています。

Panasonic βの特徴は、以下の3点に集約できます。

  • 社外の企業やスタートアップとの協業を積極的に進める
  • 事業アイデアの検証をスピーディーに行い、早期の事業化を目指す
  • 従来の社内ルールにとらわれない、小回りの利く組織体制を敷く

実際に、シリコンバレーのベンチャー企業と提携し、わずか1年で人工知能を活用したデジタルサイネージの事業化に成功するなど、同社ならではの強みを活かしながら、新規事業の創出スピードを飛躍的に高めています。

大企業とスタートアップの協業によるイノベーションは、今やビジネスの常識となりつつあります。

Panasonic βのように、社外リソースも積極活用しながら、機動力のある組織運営を行うことが、新規事業成功の鍵を握っているのかもしれません。

ソニー「Seed Acceleration Program」の仕組み

ソニーは2014年から、新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」を開始しました。社員からアイデアを募集し、選抜されたプランに対して、事業化に向けた支援を行うのが特徴です。同プログラムでは、以下のような手厚いバックアップ体制を用意しています。

  • 専任のメンターによる事業化支援
  • 開発に必要な資金の提供
  • 専門家によるビジネス関連の講義
  • 他のプロジェクトメンバーとの合宿

約3ヶ月間の支援プログラムを経て、優れたプランは事業化へと進んでいきます。すでにドローン事業や医療機器事業など、多くのプロジェクトが同プログラムから生まれており、イノベーションの源泉となっています。

自社の社員が持つアイデアを事業化に結びつけるには、SAPのような仕組み作りが効果的だと言えるでしょう。

新規事業立ち上げのハードルを下げ、チャレンジする文化を醸成することが、次々と革新的なビジネスを生み出すことににつながります。 アイデアの芽を見逃さない仕組みを構築することが、大企業にとって重要な課題と言えます。

トヨタ自動車「TOYOTA NEXT」の取り組み

トヨタ自動車は2016年、新規事業創出を目的とした社内カンパニー「TOYOTA NEXT」を設立しました。クルマ作りで培った強みを活かしつつ、従来のビジネスとは異なる領域への挑戦を続けています。

TOYOTA NEXTの取り組みで特筆すべきは、以下の2点です。

  • 社内ベンチャーの公募と、出資による支援
  • 他業種との協業による新規事業開発

例えば、社内ベンチャー制度「TOYOTA NEXT CHALLENGE」では、社員から新規事業のアイデアを募集し、選ばれたプランに対して出資を行っています。また、住宅メーカーのミサワホームと提携し、IoTを活用したスマートホームの開発を進めるなど、他業種とのコラボレーションにも積極的です。

自動車業界は今、MaaSやEVシフトといった大きな変革の波に直面しています。

既存事業の延長線上では通用しない時代に入ったと言っても過言ではないでしょう。

TOYOTA NEXTのように、全く新しい領域に果敢に挑戦することが、大企業にとって生き残りをかけた必須戦略となるはずです。

これら3社の事例からわかるのは、新規事業開発に取り組む大企業に共通するのは、「スピード」「オープンイノベーション」「社内起業家の育成」といったキーワードだということです。

新規事業の成否は、いかに機動力を高め、有望なアイデアにリソースを集中できるかにかかっていると言えるでしょう。大企業のスケールメリットを活かしつつ、ベンチャーのような発想でイノベーションを生み出す。そんな取り組みから目が離せません。

まとめ

本記事では、新規事業開発のポイントをお伝えしました。イノベーティブなアイデアを生み出すには、顧客視点に立ち、アイデアの実現可能性を見極める力が必要不可欠です。アイデア発想のコツを押さえ、仮説検証を繰り返すことで、市場に受け入れられる事業を効率的に立ち上げることができるでしょう。

また、検証の結果、新規事業が失敗するリスクが高いと判断した場合には、早期に撤退し、あらためてリサーチし、別の新規事業を立ち上げていきます。「新規事業のアイデアが実現可能か検討したい」「成功率が高い新規事業のアイデアがほしい」という方は、ぜひSEEDERが提供している「未来洞察」の導入を検討してみてください。

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この記事を書いた人

吉冨 剛典 吉冨 剛典 マーケティング担当

大手企業・ベンチャー企業にて事業開発を10年以上経験。
市場動向に即したビジネススキームの構築に強み。
PoC推進支援、事業計画の策定など新サービス / ブランドの立ち上げ実績多数。

新規事業の立ち上げを成功させたい方へ
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