新規事業の立ち上げは、リスクが伴う挑戦です。しかし、その成功率を高めるためには、追いかけるべき重要な指標を把握することが不可欠です。
そこで本記事では、新規事業の成功を測るための指標を4つご紹介します。これらの指標を活用すれば、事業の成長を促進し、問題を解決する手助けとなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
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新規事業の成功に欠かせない4つの評価指標
新規事業の成功は「企業が新たな市場や顧客のニーズに応え、成長し続けること」を指します。この成功の定義は企業や業界によって異なる場合がありますが、一般的には以下の4つの評価指標が重要視されています。
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新規事業の成功を測る際には、以上4つの指標を総合的に評価し、自社のビジョンや目標との一致を確認しながら、その成果を追跡していくことが重要です。ここからは、それぞれの指標について、詳しく解説していきます。
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指標1. 収益性
成功した新規事業は、売上および収益率の向上が期待されます。また、コスト削減と効率化は、ビジネスにおける競争力の向上と自社の事業の持続的な成長につながります。この指標は、成長に必要な資金を確保し、投資家の信頼を獲得するためにも重要です。
売上高と利益率の重要性
新規事業の成功を測る上で、売上高と利益率は重要な指標となり、それぞれのバランスが重要となります。
売上高は、事業の成果や市場での競争力を評価する上で欠かせない要素です。高い売上高は、需要や顧客の獲得力があることを示し、ビジネスの成長や持続性につながります。
利益率は、売上高に対する利益の割合を示す指標です。高い利益率は、ビジネスが効率的に運営されていることを示し、持続可能な収益性を持っていることを示します。仮に利益率が低い場合、コスト削減や効率化の改善が求められる可能性があります。
売上高を増やすためには、顧客の獲得やマーケティング活動の強化が必要です。一方、利益率を向上させるためには、効率化やコスト削減に取り組むのも1つの方法です。成功を測る指標として、定期的に売上高と利益率を計測し、改善のための戦略を検討しましょう。
効率化とコストの削減
効率的な運営とコスト削減を追求することで、競争力のある価格で商品・サービスを顧客に提供しつつ、事業利益を最大化することが可能です。
コストの削減は、企業が生産や運営にかかる経費を削減し、収益を最大化するために重要な要素です。明確な目標値を設定し、コスト管理を行うことが結果的に業績の向上にもつながります。
また、効率化は、業務プロセスの最適化や効率的なリソースの活用を意味します。十分に実行できれば、企業の生産性や競争力を向上できるでしょう。
参考:新規事業開発のプロセス10個をプロジェクト初任者向けに解説!検証・改善方法も紹介
指標2. 成長性
成功した新規事業は、市場成長率の高い分野に参入し、その成長に貢献しています。そのため、市場成長率を分析し、新規事業の成長力を評価することは非常に重要です。また、定期的に顧客を獲得し続け、長期的な関係を築いていくことができれば、自社の事業の持続的な成長と収益性の確保につながります。
市場成長率の分析
繰り返しになりますが、実際に成功している新規事業は、市場成長率を上回る成長を達成しています。つまり、すでに成熟した市場や飽和状態の市場ではなく、これから成長が見込まれる市場に参入することが成功の鍵といえます。
市場動向や競合他社の分析を通じて、自社の事業が「市場の需要に応える能力」を有しているかどうかを測定することが重要です。具体的には、以下のような分析を行うとよいでしょう。
分析ポイント | 分析により、把握できる情報 | 情報をもとに予測できること |
過去の成長率の分析 | 業界や市場の成長トレンド | 市場の将来の成長率 |
競合他社の分析 | 市場の潜在的な成長力や競争状況 | 新規事業の成長率 |
マーケットリサーチ(市場調査) | ターゲット市場の成長率、市場の需要動向 | 新規事業の需要や成長機会 |
最新技術や市場動向 | 技術の進歩や市場の変化 | 新規事業の成長率 |
このように、新規事業を立ち上げる際には、市場成長率をしっかりと分析し、事業計画を進めていくことが重要です。
参考:新規事業の市場調査のやり方とポイント!成功率を高める方法とは?
顧客の獲得と維持
新規事業の継続的な成長には、顧客の獲得が欠かせません。評価する際には、顧客獲得のための施策の成功率や顧客のリピート率、顧客満足度などの数字を追跡することが重要となります。
新たな顧客の獲得と維持は、売上や収益を増加させるために欠かせません。定期的に顧客を獲得し、それを維持するリピート型のビジネスは、安定した収益をもたらすことが魅力です。
次に、既存の顧客との関係を強化することも重要です。顧客が満足している場合、クチコミや紹介によって新たな顧客を獲得できる可能性が高まります。顧客ニーズに合わせた商品・サービスの提供や、顧客サポートの充実などにより、顧客の維持に努めることをおすすめします。
そして、競争が激しい市場では、顧客の流失を防ぐことも必要です。具体的には、競合他社との比較や差別化、顧客に提供する付加価値の向上が求められます。これらに取り組むことで、事業の持続的な成長を実現できるでしょう。
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指標3. 競争力
事業の成否は、競合他社との比較に基づいて評価されます。そのため、市場シェアや競争力などの指標を用いて、自社のポジショニングや競合他社との差を把握することも重要です。また、差別化と独自性によっても新規事業の成功を測ることができます。
競合他社との比較
競合他社との比較によって、自社の製品やサービスの優位性や競争力を把握できます。以下は、競合他社との比較において考慮すべき要素です。
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これらの要素を見直し、自社の製品やサービスの強みや改善点を把握し、新規事業を成功させるために必要な戦略を立てることが重要です。
差別化と独自性の重要性
市場には競合他社が存在し、同じような商品やサービスを提供しています。したがって、自社の商品やサービスが他社と異なる点を持つことが重要です。
そのような差別化と独自性を持つことで、顧客にとって魅力的で興味深いものとして、競合他社からの差別化を図ることができます。
以下は、差別化と独自性の重要性を強調するポイントです。
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新しい事業がいったいどのようなものなのかを、いろいろなかたちで顧客に伝えることが重要になります。また、さまざま業界内でのトレンドや標準と異なるアプローチができれば、顧客のファン化の促進にもつながります。そのためにも、顧客の注意を引き、競合他社と差別化する戦略をじっくりと考えることが必要です。
参考:失敗しない市場調査とは?リサーチ会社が伝授する調査方法5ステップ
指標4. 持続可能性
環境負荷の低減は、企業の長期的な成長と持続可能性にとって不可欠な要素です。また、その他の社会課題への貢献度や社会的な影響度、事業の持続可能性なども、現代のビジネスでは重要な指標といえます。
環境負荷の低減
顧客の環境に対する意識は高まっており、環境に優しい企業を支持する傾向があります。そのため、企業が環境に対して責任を持ち、持続可能なビジネスプラクティスを実施することは、社会的な要求として、今後ますます重要となるでしょう。
環境負荷の低減を実現する方法としては、エネルギー効率の向上、排出物の削減、廃棄物の適切な処理などがあります。また、環境に配慮した製品やサービスの提供も重要視されています。
社会的影響の評価
企業が持続可能な成長を達成するためには、社会的な影響を考慮に入れる必要があります。社会に対してどのような責任を果たし、環境に配慮しながら事業を展開しているかどうかが、企業の信頼性と長期的な成功につながります。
前述した環境負荷の低減を含め、どのような活動がいま求められているのかを以下にまとめました。
環境負荷の低減 |
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社会貢献 |
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インクルーシブなビジネスモデル |
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透明性と報告 |
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環境負荷の低減には、企業の活動が地球環境に与える影響を評価し、持続可能な方法で事業を展開することが不可欠です。また、企業が地域社会や社会的問題への貢献を考慮に入れることは、顧客やステークホルダーの信頼を得るためにも重要となっています。
社内においても、企業の採用や人事政策で多様性や平等に向けて取り組んでいくことが必要です。そのような取り組みは、企業イメージやブランド価値の向上に役立ちます。そのようなことに加えて、企業は自社の社会的責任について定期的に正しく報告し、ステークホルダーの関心に応えていく義務もあります。
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まとめ:新規事業の成功を測る指標の重要性
新規事業の成功を測るためには、本記事でご紹介した指標を組み合わせて、総合的な分析を行うことが重要です。また、定期的な評価と改善施策の実施が、持続的な成功へとつながっていきます。
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