ビジネスの成果を向上するサービスデザインの考え方とフレームワーク【まとめ】

サービスデザインは、昨今消費者に求められているコト(体験)を設計することで、企業が新しい価値を創出するための手法です。しかしながら、どのように取り組めばよいかわからないとお悩みの企業は少なくありません。

その解決策として、本記事ではサービスデザインを考える際に有効なフレームワークを紹介しています。デザイン思考との違いや、サービスデザインが特に必要となる事業フェーズ、その際に行うとよいPoC検証なども解説しているため、「サービスデザインの改善に取り組むのは初めて」という方にもおすすめです。

また、各章ではより詳しく書かれた記事をあわせて紹介しています。「サービスデザインをより詳しく理解したい」という方は、そちらもぜひ参考にしてみてください。

サービスデザインの考え方や実践のためのフレームワークなどをまとめた資料はこちら≫ダウンロード無料

新規事業の立ち上げを成功させたい方へ
FUTURE WAVEを活用したトレンドリサーチ支援
FUTURE WAVEを活用したトレンドリサーチ支援

デスクリサーチをベースとした市場のトレンド分析を元に、サービス / プロダクトの改善・開発を行います。未来の生活者や市場動向を事業に活用したいクライアント様向けのパッケージとなります。

ご支援プラン紹介ページを見る
目次

ビジネスのためのサービスデザインとは?

昨今は、モノよりもコト(体験)に焦点を当てた商品・サービスがヒットする傾向があります。そして、それを実践するための手法がサービスデザインです。

このサービスデザインとは、文字どおり「サービスをデザインすること」を指します。しかしながら、一言でサービスといっても、ITサービスや接客サービスなど、その種類はさまざまです。また、デザインの対象も、見た目のグラフィックだけではなく、商品の中身、コンテンツデザインのほか、そのようなものの設計、開発など多岐にわたります。

つまり、サービスデザインは体験を設計し、その体験を通して新しい価値を生むための手法だと表せます。設計時には、自社が提供できる体験やその価値を明らかにするだけでなく、ユーザーの感情や行動理由を意識した仕組みや仕掛けを作ることで、継続的に利用されるサービスを目指すことが重要です。

そのようなサービスをしっかりとデザインすることができれば、自社の収益アップにつながるほか、従業員やスタッフにとっても働きがいのある組織として、成長し続けることができるでしょう。

サービスデザインの考え方や実践のためのフレームワークなどをまとめた資料はこちら≫ダウンロード無料

サービスデザインの導入事例

2019年にイタリアで開催された見本市「ミラノサローネ2019」では、Googleがサービスデザインを現わした展示を行っていました。詳しい展示内容や体感した結果については、下記の記事で紹介しています。

【ミラノサローネ2019速報】サービスデザインからみたミラノサローネ ~2019年はGoogleの一人勝ち~ – SEEDATA

また、下記の記事では、わかりやすいサービスデザインの例として、スターバックスとライザップという2社の取り組みを紹介しています。

【ビジネスのためのサービスデザイン①】製品のサービス化を実践していくためには?- SEEDATA

サービスデザインが重視される背景にある「体験」への消費ニーズ

従来、サービスデザインは「いかに良い製品を作るか」という目線で考えられてきました。しかし、消費者の求めるものはモノ(製品)からコト(体験)へと移行し、市場でも体験にフォーカスした商品、サービスが注目を集めるようになっています。

実際に、企業による消費者へのマーケティング戦略においても、「消費すると、どのような成果を得られるか」というイメージの訴求が行われています。

体験を提供する商品・サービスの具体例として、Amazonの「プライム会員」サービスや

Netflix」などの動画配信サービスなどが挙げられます。例えば、「Netflix」ではユーザーの視聴履歴にもとづき、その人に合う作品を提示しているほか、膨大なユーザーの視聴時の感情の動きをデータ化し、その分析結果を使って新たな作品を生み出すことで、体験の質を向上させています。

また、クラウドファウンディングなどの、いわゆる「応援消費」も、コトの消費の1つです。コロナ禍には、今すぐの体験ではなく、後日の施設利用券や食券が発行されるなど、未来の体験への消費ニーズも高まりました。

デザイン思考との違いは?

サービスデザインとともに注目を集めているのが「デザイン思考」です。このデザイン思考は、デザイナーの考え方やスタンスを指すもので、それ自体が開発の手法とはいえません。あくまでも思考法の1つであり、「これを用いればより良い新規事業開発・新商品開発が行える」というわけではありません。

一方、サービスデザインはより大きな概念で、その一部にデザイン思考を含みます。デザインツールやデザインのプロセス、サービスを実現するためのマネジメント方法、顧客・デザイナー・クライアント等とのコミュニケーションなども、サービスデザインの概念の1つと言えるでしょう。(参考:サービスデザインのフレームワーク – SEEDATA

ゼロからサービスデザインを学びたい方におすすめ!サービスデザイン思考の6つの考え方とは?【ダウンロード無料】

サービスデザインを考えるメリット3つ

 

ここでは、サービスデザインを考えるメリットとして、以下の3つをご紹介します。

メリット1. 自社の事業課題の解決策になる

メリット2. 自社の収益アップにつながる

メリット3. ユーザーの人生を豊かにできる

メリット1. 自社の事業課題の解決策になる

これまでの「モノ消費」から「コト消費」への転換が重要だとわかっていても、「どのように実行すればよいのかわからない」とお悩みの企業は少なくありません。

そのような場合、自社の事業をサービスデザインの観点で設計し直しましょう。あるいは、サービスデザインにゼロから取り組み、新規事業を開発して経営改善を実行するという方法もあります。

次々に新しい商品が出てくる現在の市場環境では、商品の価値のみで収益を上げ続けるのは困難です。また、消費者のニーズも急速に移り変わります。しかし、サービスデザインに注力し、仕組みやブランドコンセプトそのものに共感してもらえれば、サービスを継続的に利用してもらうことができ、自社の経営の新たな柱にすることも可能です。

また、一度でもそのような新規事業を開発することができれば、その事業を横展開し、新たな分野へ進出していくことができます。

自社サービスの改善や新規事業開発を実現する、サービスデザインの考え方【ダウンロード無料】

メリット2. 自社の収益アップにつながる

サービスデザインの考え方を導入すれば、その事業で継続的な収益を得られる可能性が高まります。なぜならば、サービスデザインでは1回限りの購入ではなく、継続的な購入までを考えて事業を設計していくからです。

この継続購入の仕組みの代表ともいえるのが、近年急増しているサブスクリプションサービスです。そして、このサブスクリプションサービスの本質は、続ければ続けるほど、ユーザーがそのサービスにハマり、それがない生活は考えられないような状態になることです。企業側も安定した収益を得られることになり、販売した商品・サービスの売れ行きに経営が左右されずに済みます。

ただし、そのような状態にユーザーが至るためには、飽きさせないための仕組みづくりが必要です。単に同じ商品が定期的に送られてくるような定期配送では、飽きてしまったユーザーが、他の商品や他社のサービスに乗り換えてしまう可能性があります。

そのような状況を回避するために、ユーザーがハマっていく仕組みが作られているサービスとして、下記の資料では。代表的なストリーミング動画配信サービスである「Netflix」や、月額制のファッションレンタルサービス「エアークローゼット」を例に挙げ、どのような仕掛けを作ればよいかを詳しく解説しています。

【ダウンロード無料】ユーザーから継続的に購入されるサービスの特徴やその仕掛けを事例とともに徹底解説!

メリット3. ユーザーの人生を豊かにできる

サービスデザインによって実現できる体験は、ミクロからマクロまで多岐にわたります。例えば、UI/UXなどはミクロな体験を生むサービスデザインです。マクロでは、ユーザーの人生全体を豊かにするような体験もあります。そのような体験を生むためには、「人間中心」の考え方や、利用するユーザーの潜在ニーズや行動理由を考察することも必要です。

そして、サービスデザインによって魅力的な体験を設計すれば、ユーザーの人生にまで影響を与えることも可能となります。

ここからは、そのような体験を設計する際に有効なサービスデザインのフレームワークや、サービスをヒットさせるための方法について解説していきます。なお、本記事の内容や、より詳しい解説については下記の資料にまとめていますので、よろしければご参照ください。

ゼロからサービスデザインを学びたい方におすすめ!「コト」を作るために必要な6つのマインドセットとは【ダウンロード無料】

サービスデザインに最適なフレームワーク4つを紹介

本記事では、サービスデザインを考え、実行する際におすすめのフレームワークとして、以下の4つの使い方などをご紹介します。自社の事業課題の解決策を探している方はぜひ一度、試してみてください。

  1. JTBD(Jobs to be done)
  2. AESEO
  3. ダブルダイヤモンド
  4. サービスブループリント

なお、下記の記事では「JTBD」「AESEO」について詳しく解説しています。加えて、アイデア出しの方法として、自社のリソースを活用して考えていく「サービスドミナントロジック」という考え方も解説しています。

サービスデザイナーが知っておくべきサービスデザインのフレームワーク – SEEDATA

JTBDJobs to be done

 

JTBD(Jobs to be done)は「ジョブ理論」にもとづくフレームワークです。この「ジョブ」とは、満たされていないニーズや希望と言い換えることができます。

JTBDを構成する要素】

When 「〇〇なとき」 どのような状況で起こるのか
I want to 「私は〇〇したい」 考える動機は何か
so, I can 「それにより、〇〇をできるようになる」 期待される成果は何か

JTBDは上記3つの要素で構成されています。ユーザーの行動を、それぞれの要素に当てはめて考えていくことで、そこにどのようなニーズがあって、そのような行動をとっているのかに気づくことができます。そして、そこを深掘りすることで、ユーザーの潜在ニーズや新しい発見を見つけ出すことが可能です。

参考:サービスデザイナーが知っておくべきサービスデザインのフレームワーク – SEEDATA

AESEO

 

AESEOは「AttitudeExpectationScheduleEnvironmentOrigin」の頭文字をとった名称です。このフレームワークは、ユーザーのニーズを探る際のチェックリストとして使用できるもので、デプスインタビューにも活用することができます。

また、新規事業開発においては、顧客のインサイトやジョブの分析にも役立つほか、事業に関わる人や組織、影響を与える利害関係者を図式化するための「ステークホルダーマップ」を作成する際にも有効です。

AESEOを構成する要素と、重点的に分析すべきポイントを解説します。

AESEOを構成する要素】

Attitude 目には見えない態度、

考え方、姿勢

「〇〇をしたい」「〇〇を避けたい」

そのようなニーズが生まれたのは、なぜかを考える

Expectation 期待、予想 「将来、どのような結果を期待しているのか」

今ではなく、未来に生まれているニーズを考える

Schedule 予定 「今、なぜそのようなニーズが発生しているのか」

「なぜそのタイミングで、それをしなければならないのか」

緊急性や、締切の有無についても考える

Environment 環境、周囲の状況 「家なのか、外なのか」「平日か、休日か」

「リラックスできる場所か、アクティブに動けるような場所か」など

ユーザーを取り巻く、外部の環境要因を考える

Origin 由来、根源、発端 「自分のためなのか、他人のためなのか、それとも社会のためなのか」

行動の由来について考える

AESEOを用いる場合は、特に「Origin」を重点的に分析しましょう。それにより、「その商品やサービスを購入または使用するのは、『誰の』『何の』ためなのか」を深掘りできます。

また、上記それぞれの要素について、その動機がポジティブな欲求なのか、ネガティブな欲求なのかも考えます。これにより、ユーザーの心理や潜在ニーズを読み取り、真の望みや行動の背景を理解することが可能です。

なお、下記の記事ではAESEOJTBDについて、「どのようなことが分析できるのか」という例とともに解説しています。

参考:サービスデザイナーが知っておくべきサービスデザインのフレームワーク – SEEDATA

ダブルダイヤモンド

 

ダブルダイヤモンドとは、英国のデザイン・カウンシルが提唱した、問題解決のためのフレームワークで、サービスデザインのプロセスを図で表すというものです。上の図のように、発散と収束を繰り返すことで、事業アイデアやサービスを磨いていきます。また、このフレームワークは、サービスデザインだけでなく、プロジェクトの進行状況や進捗管理にも活用可能です。

参考:【ビジネスのためのサービスデザイン③】サービスデザインのプロセス「ダブルダイヤモンド」とは? – SEEDATA

ダブルダイヤモンドの使い方

「ダブルダイヤモンド」という名前ではあるものの、発散・収束は2回で終わりではありません。3回以上の「トリプルダイヤモンド」、さらにそれ以上の発散と収束を繰り返すことで、サービスの価値を磨いていくことができます。

そして、2つのダイヤモンドはそれぞれ4つのフェーズに分かれています。フェーズごとに適切なアクションを実施することで、問題解決のプロセスを体系的かつ効果的に進めることが可能です。また、その過程でサービスの価値がより良質になっていくでしょう。

【ダブルダイヤモンドの4つのフェーズ】

フェーズ 必要な活動 サービスの場合
発見

(ディスカバー)

問題の発見、理解、洗練

 

解決したい課題や理想の未来を作り出す
定義

(ディファイン)

問題の定義、問題解決の目標設定 コンセプトを考える(what if
展開

(デベロップ)

アイデアの創出、評価、選択 数多くのアイデアを出す
実現

(デリバー)

解決策の実現、評価、改善 価値あるアイデアを絞り込み、

サービスの提供方法等を検討する

各フェーズを具体的に解説します。まず、ディスカバーのフェーズでは課題についての情報を収集し、その課題に対して何が求められているのか、どのような問題があるのかを明らかにします。そして、ディファインのフェーズでは、収集した情報を分析して問題を定義し、解決すべき目標を設定します。

続いて、デベロップのフェーズでは解決策を検討し、アイデアを出します。最後のデリバーフェーズでは、実現可能性や消費者ニーズを踏まえ、価値のあるアイデアを絞り込んでいきます。

後ほど詳しくご説明しますが、出てきたアイデアをビジネスとして成立させるためには、このデリバーフェーズが最も難しく、非常に重要となります。

なお、このデリバーフェーズを経て、新たなビジネスモデルを作るには、少なくとも3年はかかります。しかも、市場サイクルの変化が速い現代においては、3年後の未来を見据えて考えていかなければなりません。そのため、現時点で一般の人々とは違う、先進的な生活をしているユーザーに注目することが大切です。

また、そのようなユーザーは、ビジョンと問題定義を内に抱え、他の人とは異なる価値観で行動しています。SEEDERでは、そのような人々を「トライブ」と定義し、独自に定性調査などを行い、隠れたニーズやインサイトを分析しています。新事業開発のサービスデザインに活用できる情報となっているため、そのような情報の獲得もぜひ検討してみてください。

詳しくはこちら≫未来の生活者や市場動向を事業に活用できる!トレンドリサーチ支援「FUTURE WAVE

サービスブループリント

 

サービスブループリントは、ユーザー側と従業員側の双方の視点で、サービスを提供するまでのプロセスを可視化するフレームワークです。メンバー間での認識を一致させやすくなるため、「サービスの設計図」としてサービスデザインの分野ではよく使われています。(参考:【ビジネスのためのサービスデザイン⑤】サービスブループリント

このサービスブループリントでは、サービスを提供するために必要な各ステップを明確にするため、ユーザーと関わる部分の動きを「フロントステージ」、従業員側の動きを「バックステージ」として表します。そして、可視化した内容をもとに、ユーザーがどのような体験を求めているかを理解し、サービスの提供方法を改善していきます。

また、各プロセスを十分に分析していくことで、サービスを提供するまでのプロセスを効率化できるほか、バックステージをデザインすることでサービス全体の質を向上させることが可能です。

サービスブループリントの使い方

実は、サービスブループリントは明確に体型化されていません。取り組む際にはまず、ユーザーの動きだけでなく、従業員・スタッフの動きなどのユーザーからは見えない部分を含めて、プロセスごとに記述していきます。そして、それらのプロセスに「ユーザーはどのような行動をしているのか」「それに対し、従業員はどのような行動をしているのか」を書き加えていくとよいでしょう。

さらに、従業員らの行動にはどのような価値があるのかも明確にしていき、その中で自動化できる行動がないかどうかを探ります。

チャットボットやロボット、AIの活用が進む昨今、バックステージの自動化はスタッフが真に取り組みたいと思っている「価値ある行動」に注力するための支援になります。一方で、生身の人間が行う接客に関しては、「それぞれの個性や専門性を感じられるほうがよい」と考えられているのが現状です。仮に、従業員が「私はこれがおすすめです」というような意見を伝えられる環境を生み出せば、それは従業員の誇りになり、ユーザーにとっては価値ある体験につながるでしょう。

下記の記事では、スターバックスやディズニー、「俺のフレンチ」で有名な俺の株式会社を例に挙げ、どのように従業員・スタッフに誇りを持ってもらっているのかを解説しています。

【ビジネスのためのサービスデザイン⑤】サービスブループリント

デザインしたサービスをヒットさせるための方法

サービスデザインに取り組んだ事業を成功させるためには、たった一度のヒットではなく、消費ニーズを獲得し続ける必要があります。つまり、継続的なヒットを目指すことが重要です。

その方法として、以下の4つのポイントをおさえたサービスをデザインすることをおすすめします。

ポイント1. 「デリバーフェーズ」を捉える

ポイント2. PoC」を実行する

ポイント3. たえず変わる「コンテクスト」に対応する

ポイント4.「カスタマージャーニーマップ」で継続可能なサービスを作る

ポイント1. 「デリバーフェーズ」を捉える

サービスデザインにおいて最も重要なのは、ダブルダイヤモンドの部分で解説した「デリバーフェーズ」、つまりサービスを実現するフェーズへの注力です。

サービスのデリバリーフェーズには、サービスの提供者が顧客にサービスを提供するための一連のプロセスや活動が含まれます。例えば、サービスを提供するための環境構築やユーザーとのコミュニケーションなども、デリバーフェーズの活動の1つです。

活動が多岐にわたる一方で、サービスの品質や顧客満足度に大きな影響を与えるフェーズのため、サービスを提供するタイミングやシチュエーションにも工夫が必要です。

詳しくは、下記のページをご参照ください。具体的な事例とともに解説しています。

【ビジネスのためのサービスデザイン⑧】サービスをヒットさせるためのデリバーフェーズとは?

ポイント2. PoC」を実行する

1回限りの購入で終わらせないサービスを作るためには、PoCが不可欠です。PoCはプロトタイプ(試作)を用いて、アイデア(概念)の実現可否について検証するというものです。これを実行することで、本リリース時に商品やサービスがユーザーに対し、実際にどのような価値を与えられるのか、現状の課題は何かなどを判断できます。

このPoCはデリバーフェーズに不可欠なプロセスといっても過言ではありません。PoCのほか、PoPoCAについても下記の資料に詳しい内容を記載していますので、新規事業の開発を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

ゼロからサービスデザインを学びたい方におすすめの情報を公開中【資料ダウンロード無料】

ポイント3. たえず変わる「コンテクスト」に対応する

ヒットするサービスをデザインするためには、コンテクストへの対応も重要となります。コンテクストとは、文脈や背景などの状況を表す言葉ですが、サービスデザインにおいては、「どのような文脈で使われる商品・サービスなのかを考える」という意味があります。(参考:サービスデザインで考えるべき「コンテクスト」とは?【資料ダウンロード無料】

新規事業開発や新商品開発では、商品やサービスの機能や性能をむやみに高めようとして失敗することがよくあります。しかし、今は「モノ」よりも「コト」が求められている時代です。一見価値がなさそうなアイデアやモノであっても、コンテクストを変えてみると価値あるものに変わる可能性があります。

コンテクストを把握するための問いかけ例

以下は、コンテクストを言語化する際の問いかけ例です。サービスデザインでは、このようなコンテクストを1つずつ考えていくことが必要です。

ユーザーの視点で想像する 「どのような人がその商品を使うのか」

「家の中で使うのか、外で使うのか」

「使う時間帯は朝なのか、昼なのか」

「使う人の習慣や文化はどのようなものか」

ビジネスの視点で想像する 「サービスに必要な要素は何か」
技術の視点で想像する

「使う人の知識やスキルはどのようなものか」

「実現するためには、どのような技術が必要か」

コミュニケーションの視点で想像する 「どのような状況や背景で利用するのか」

それぞれの視点で洗い出した内容について、改善や効率化を検討することで、サービスが良質なものになり、ユーザーの満足度を高められます。

また、コンテクストは時代や世の中の状況によっても変わります。新規事業を開発する際には、コンテクストをただ読み取るだけではなく、入れ替えたり、組み合わせたりすることで、独自性のあるアイデアを発想していくことが大切です。例えば、昔の日本では家の中の灯りといえば、ろうそくでした。しかし、電気が普及して以降は灯りとしてのろうそくは不要になり、その一方で、ホームパーティーのケーキの上や、室内に癒しを感じる香りを漂わせるようなろうそくのニーズは広がり、そのような商品が普及しました。

なお、コンテクストを読み取るための手法として、インタビューやアンケートなどによるユーザー調査のほか、市場動向調査、競合分析などの調査・分析が必要になることもあります。自社内のリソースやノウハウが不足している場合は、外注するのも1つの方法です。

詳しくはこちら≫サービスデザインで考えるべき「コンテクスト」とは?【ダウンロード無料】

ポイント4. 「カスタマージャーニーマップ」で継続可能なサービスを作る

カスタマージャーニーマップは、サービスデザインをより魅力的にするためのツールです。このツールを使う際には、ユーザーの体験を「旅」に見立てて、マップ化します。サービスの流れが可視化でき、「どこでユーザーへの価値提供が生まれているか」を確認することができます。また、マップをもとに、開発メンバー全員が「どのようなサービスにしていくのか」という共通認識を持てるというメリットもあります。

このカスタマージャーニーマップは、ユーザーに訴求するためのマーケティング戦略を立てる際にもよく用いられますが、サービスデザインの場合、使用する目的は少し違ってきます。

下記の記事では、カスタマージャーニーマップを用いて既存のサービスを改善する方法や、ユーザーがサービスにハマる心理についても詳しく解説しています。「ユーザーが継続的に利用するサービスを生み出したい」と考えている方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

 

【ビジネスのためのサービスデザイン④】カスタマージャーニーマップの活用法 – SEEDATA

カスタマージャーニーマップを作成する際には、顧客との各種タッチポイントを洗い出します。テレビの視聴時やスマートフォンでSNSを閲覧している時、実店舗に訪れた時など、サービスの目的や内容、提供方法などによって、タッチポイントは異なります。

そして、そのような場面で、ユーザーがどのような行動をとるのか、その行動の背景にはどのような感情や価値観があるかも書き出します。

ポイントは、顧客がループを巡るのは1周だけではないという点です。そのため、1サービスにつき1ユーザーのジャーニーを一度書いて終わるのではなく、さまざまなパターンのジャーニーを書いてみてください。

近年、多くのサービスがリリースされていますが、その中には最初に大きく広告費を投じて認知を拡大したものの、ダウンロードされて以降、一度も開かれていないというものも少なくありません。この要因として、1周目のジャーニーマップしか設計していないことが考えられます。また、会員登録がゴールになってしまっているサービスも数多く存在します。

ヒットし続けるサービスを開発するためには、1周目でのユーザーの獲得だけで満足せず、2周目も十分に設計し、何度も利用されるような「きっかけ」をデザインすることが重要です。

参考:サービスデザインを活用したミレニアル向けカスタマージャーニー攻略の3つのポイント – SEEDATA

まとめ

サービスデザインは、昨今消費者に求められているコト(体験)を設計し、自社のビジネスに新しい価値を創出するための方法です。本記事では、フレームワークを用いたサービスデザインやサービスを実現し、それを継続的にヒットさせるためのポイントなどを紹介しました。

時間や場所によって変化するコンテクストを読み取り、それにフィットする自社の商品・サービスを考え、PoCを実施した後にリリースすることができれば、新規事業の成功率を大きく高めることが可能です。また、リリース後もサービスデザインの考え方やフレームワークを用いて、顧客を飽きさせない仕掛けづくりや、従業員・スタッフが誇りを持って働き続けられるような環境構築に取り組むことが、サービスの質の向上にもつながります。

なお、本記事で紹介した内容や、これまでのサービスデザイン解説記事の内容を、下記の資料にまとめています。サービスデザインの基礎知識や自社のサービスを改善するためのポイントを記載していますので、自社にサービスデザインの考え方を取り入れたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

サービスデザインの考え方や実践のためのフレームワークなどをまとめた資料はこちら≫ダウンロード無料

  • URL Copied!
  • URL Copied!

この記事を書いた人

吉冨 剛典 吉冨 剛典 マーケティング担当

大手企業・ベンチャー企業にて事業開発を10年以上経験。
市場動向に即したビジネススキームの構築に強み。
PoC推進支援、事業計画の策定など新サービス / ブランドの立ち上げ実績多数。

新規事業の立ち上げを成功させたい方へ
FUTURE WAVEを活用したトレンドリサーチ支援
FUTURE WAVEを活用したトレンドリサーチ支援

デスクリサーチをベースとした市場のトレンド分析を元に、サービス / プロダクトの改善・開発を行います。未来の生活者や市場動向を事業に活用したいクライアント様向けのパッケージとなります。

ご支援プラン紹介ページを見る
目次
閉じる