「新規事業を任されたけれど、事業計画書の作り方がわからない…」「事業計画書を作成するにあたって気をつけるべきポイントを知りたい…」このような悩みを抱えていませんか。新規事業を開始する上で、欠かせないのが「事業計画書」です。
自社のビジネスをどのように展開していくかを明確に示すことで、投資家や金融機関から出資や融資を受けやすくなります。したがって事業計画書は、客観的にみて説得力のあるものに仕上げることが大切です。
そこで本記事では、事業計画書の作成に役立つ9つのヒントを紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
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新規事業はなぜ必要か?
現代のビジネス環境は、急速な変化と競争の激化が特徴です。これまでの事業だけに頼っていては、環境の変化に対応できず、競争に後れを取ってしまうリスクが高まります。
そのため、新規事業を立ち上げることは、企業が持続的に成長し、将来にわたって安定した経営を維持するための重要な戦略のひとつと言えます。ここでは、新規事業が企業にもたらす具体的なメリットを2つの観点からご紹介します。
市場内での競争力を保つため
既存事業が市場でのシェアを維持できていても、それが永続的である保証はありません。技術の進化や消費者ニーズの変化、新規参入者の台頭など、市場は絶えず変化しています。このような状況で競争力を保つには、新しい価値を提供できる新規事業を生み出すことが欠かせません。
例えば、近年ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が多くの業界に押し寄せています。この波に乗り遅れると、競合他社に遅れを取るリスクが高まります。新規事業は、こうした変化に対応し、競争力を強化するための重要な鍵となるのです。
次世代の人材育成のため
新規事業の立ち上げは、次世代の人材育成にも大きく貢献します。新しいプロジェクトに挑戦することで、社員は既存業務では得られない知識やスキルを身につけることができます。特に、若手社員にとっては、リーダーシップや創造力を発揮する場となり、成長の機会を提供します。
また、新規事業は社内に挑戦の文化を根付かせ、企業全体のモチベーション向上にもつながります。未来を担う人材の育成は、企業が長期的に発展するために欠かせない要素と言えるでしょう。
事業計画書の作成に向けて準備すること
事業計画書を成功に導くためには、十分な準備が必要です。計画書は単なる書類ではなく、新規事業を具体化し、関係者を納得させるための重要なツールです。そのためには、計画の基盤となる情報をしっかりと収集し、整理することが欠かせません。以下では、事業計画書の作成に取りかかる前に押さえておくべき5つの準備事項について詳しく説明します。
顧客ニーズの把握
新規事業が成功するかどうかは、顧客ニーズを正確に捉えられるかにかかっています。顧客がどんな課題を抱えているのか、何を求めているのかを深く理解することが必要です。具体的には、アンケート調査やインタビュー、SNSのトレンド分析などを活用して、顧客の潜在的なニーズを把握しましょう。顧客視点で考えることが、新規事業の価値を高める第一歩です。
自社アセットの確認
新規事業の土台となるのは、自社が持つ強みやリソースです。これには、人材、技術、設備、ブランド力、取引先との関係などが含まれます。これらのアセットをリストアップし、新規事業にどのように活用できるかを具体的に検討することが重要です。
たとえば、自社が持つ独自の技術を活用した製品開発や、既存顧客との信頼関係を活かした新サービスの提供などが考えられます。
事業モデルの確認
事業モデルは、新規事業の収益構造や価値の流れを示す重要な要素です。誰に、何を、どのように提供し、どのように収益を得るのかを明確にする必要があります。
具体的には、ビジネスモデルキャンバスなどのフレームワークを活用して、事業の全体像を視覚化しましょう。これにより、計画の弱点や改善点を早期に発見することができます。
市場環境の調査
新規事業を展開する市場がどのような状況にあるのかを把握することは不可欠です。競合他社の動向、ターゲット市場の規模や成長性、法規制や技術動向など、多角的な視点で調査を進めましょう。
たとえば、競合分析では、価格設定や販売戦略の特徴を洗い出し、自社が差別化できるポイントを明確にすることが重要です。
資金調達方法の検討
新規事業の実現には、必要な資金をどう調達するかが鍵となります。銀行融資やクラウドファンディング、エンジェル投資家からの出資など、さまざまな資金調達方法を検討しましょう。
特に、助成金や補助金制度を活用することで、資金の負担を軽減できる場合もあります。計画書には、調達した資金をどのように使うかを明確に記載することが重要です。
事業計画書作成の9つのヒント
新規事業における事業計画書の作成は、事業の成功可能性を高めるだけではなく、投資家の出資や金融機関の融資の判断基準として重要な役割を担います。ここでは、事業計画書を作成する際に押さえておくべきヒントを9つご紹介します。
また、新規事業開発では、MVPやPoCの概念も押さえておきましょう。以下の記事をあわせてご覧ください。
新規事業開発におけるMVPとは – JINCHI
新規事業開発におけるPoCの重要性 – JINCHI
明確なビジョンを示す
明確なビジョンを示すことは、新規事業を立ち上げる上で非常に重要です。ビジョンがなければ、どのような方向性で事業を展開していくべきかが分からず、社員やステークホルダーの行動指針が定まらなくなってしまいます。
反対に、ビジョンを持つことで、明確なゴールを設定し、その達成に向けた行動計画を立てることができます。
簡潔で具体的な表現を用いる
ビジョンは簡潔で、誰でも理解しやすい表現で示すことが必要です。また、そのビジョンがどのような価値を提供するか、どのような問題を解決するかなど、具体的な説明も欠かせません。
共感が得られるストーリーを描く
ビジョンは、共感を得られる内容であることが望ましいです。理念や価値観に共感する人が集まり、共に事業を発展させることができます。
例えば、社会問題の解消であったり、なぜ自分たちがそれをやるのか背景を含めてストーリーを描くことが重要です。
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見込み利益を計画的に算出する
ビジネスプランの作成において、「見込み利益」は極めて重要な要素となります。計画的に算出しなければ、将来の収益性を正しく予測することができません。以下のヒントにしたがって、計画的かつ正確な見込み利益を算出しましょう。
【見込み利益算出のポイント】
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なお、正確な見込み利益の算出には、事前の市場調査や、詳細な事業計画、そして現実的な目標の設定が欠かせません。これらの事前準備をしっかりと行った上で、正確な見込み利益を算出し、事業計画書に反映させることが成功の鍵となるでしょう。
参考:事業計画の考え方とは?社内稟議が通りやすくなる事業計画書の作成方法を徹底解説
競合分析を行う
競合分析を行うことは、新規事業計画書を策定する上で重要な要素のひとつです。競合他社と比較・分析することで、自社の差別化ポイントや他社が成功していないところを把握し、より戦略的な計画を立てることができます。実施する際には、以下のポイントを意識しましょう。
【競合分析を行う際のポイント】
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このような競合分析を行うことで、新規事業を展開するための戦略を慎重に考えられます。事業計画書を策定する前によく3Cや4Pといったフレームワークを駆使し、分析することが大切です。
参考:失敗しない市場調査とは?リサーチ会社が伝授する調査方法5ステップ
市場ニーズを明確化する
事業計画書の作成において重要な部分のひとつが、市場ニーズを明確化することです。これを行うことで、自社が提供する商品やサービスが市場で需要があるものであることが判明し、自社が注力するべき顧客層を特定できます。
具体的には、市場での競合商品や顧客が抱える悩みや問題を分析することが不可欠です。そのような情報を元に、自社が提供する商品やサービスに対しての需要や評価を正確に把握してください。
また、市場ニーズを明確化できれば、自社が提供する商品やサービスのアピールポイントを明らかにできるため、より魅力的なビジネスモデルを構築できます。
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業界動向を調査する
業界動向の調査も欠かせません。業界のトレンドやニーズ、競合情報などを把握することで、自社の強みや戦略を見つけることが可能です。
また、市場動向に敏感であることは、ビジネスにおいて大切なスキルといえます。業界専門誌やSNS、セミナーなどから情報を収集し、事業計画書に反映させてみてください。業界動向を常にチェックすることで、新たなビジネスチャンスを見つけられることもあります。
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現実的な事業計画を策定する
新規事業計画書を作成する際には、現実的な事業計画の策定が不可欠です。その際には、リアルな数字や目標を考慮することが重要となります。以下は、現実的な事業計画を策定するためのアドバイスです。
【現実的な事業計画をつくるポイント】
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これらのポイントを踏まえ、現実的な事業計画を策定することが、成功のカギとなります。(参考:事業計画の考え方とは?社内稟議が通りやすくなる事業計画書の作成方法を徹底解説)
操作計画を伝える
事業計画書には、どのようにビジネスを実行するのかが明確に示した、操作計画も必要です。この操作計画には、タイムラインや予算、リソース配分、実行責任など、実際にどのようにビジネスを実現するのかを示しましょう。
それをチームやパートナーと共有することでビジネスの成否に関わる重要な情報をそれぞれが把握できます。事業計画書の中で操作計画を詳しく説明し、実現可能性を高めることが重要です。
レビュアーに合わせたアピールをする
レビュアーが事業計画書を読む際に、どのような点に注目するかを理解することが重要です。その上で、レビュアーが興味を持ちやすい点やチェックしたいポイントについて、事業計画書のアピール部分を工夫しましょう。
【レビュアーに合わせたアピールをするためのヒント】
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以上のように、レビュアーに合わせたアピールを行うことで、事業計画書の説得力を向上させることができます。
可能性を最大限まで引き出す
最大限まで自らの可能性を引き出すためには、緻密な事業計画が不可欠です。以下のポイントを参考に、可能性を最大限に引き出す事業計画書を作成しましょう。
【事業の可能性を最大限引き出すためのヒント】
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以上を踏まえ、可能性を最大限に引き出すための事業計画書を策定しましょう。
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まとめ
本記事では、新規事業の必要性から、事業計画書を作成するための9つのヒントまで詳しく解説しました。新規事業の成功には、しっかりとした事前準備と計画が欠かせません。今回ご紹介したポイントを押さえて、新規事業の成功可能性を高めていただけたら幸いです。
もし、自分たちだけでは、筋の良い事業計画を作成するのが難しいと感じた場合は、外部の専門家に相談することもおすすめです。